第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
俺たちはそのまま心霊ゾーンに向かうと、軽めってナス子が言った屋敷の外に並ぶ。
『キャーーーーーッ』
ビクッ
「何これ?!なんか聞こえてきたんだけどぉ?!」
「あぁ、これは中の人の叫び声がマイクから外に漏れるようになってるんだよ!軽めでも怖そうだねっ」
だからなんでそんなウキウキしてんのコイツ?!
「わざわざ中の人の声外に出すことなくない?!中でもしアレな雰囲気になってアレな事しだしたらそれまで外に聞こえる訳だろ?」
「いや、大丈夫。多分中でアレな雰囲気になる人はいてもアレな事はし出さないと思うよ、アンタじゃないんだし」
えー、お化け屋敷って暗闇に乗じて抱き合ったりちゅーしたり彼女といちゃいちゃしたり触っていい所じゃないのぉ?
「あのねぇ、すっごいドン引いた顔してるけどアンタの妄想がおかしいからね?こういう所では普通そんな事しないの!」
「でもさぁ、やっぱ暗闇に入ったら触りたくなるのが道理ってものじゃね?」
「恐怖で誰かの手を握るとか抱きあちゃってお互いを安心させるとかはあるかもだけど・・・」
うーん、と考えてナス子が答える。
今思えばコイツが彼女だから俺が暗闇の中で触るとしたらコイツか・・・、いくら見た目が変わったとは言えもう中身は完全に元に戻ってるよなぁ~、はぁ。
いつもの残念なナス子。
暗闇じゃもうコイツのこの恰好も今の化粧も見えない。
「あ、大丈夫。俺今日は何もしない自信ある」
「それはどぉいう事かなぁ~??」
軽く口笛を吹いてそっぽを向いてやる。
でもこっちの方が俺は楽かもしれない、さっきみたいな調子狂うのより、いつものナス子とこうやって過ごす方が楽しいわ。
手は繋いだままで並んでいるとようやく俺たちの順番が回ってきた。
「はーい、カップルさんお二人ご案内~~」
幽霊の恰好した男が萎れた声で俺らを入り口に通す。
うわ、入り口から見ても中暗っ!
「ここから先は恐怖の入り口~、彼女の手、離さないであげてくださいねぇ~へへへへへ」
ギィィィィィィィィィィィィ・・・バタン
中に二人で一歩進むとゆっくり扉が閉まる音がした。
やべー、もうなんも見えないんだけどっ
これどっち進んだらいいの?!てかナス子マジこれ平気なの?!!度胸ありすぎぃ!