第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
絶対嘘だ。
だってさっきこの二人は真顔で動きが止まっていた。
それはコチラが珍しい事を言ったからの動揺であり、驚いたからだとナス子もわかっている為、二人が意地悪にもう一度言わせようとしている事も理解出来た。
「絶対に聞こえてたでしょ! 私の声別に普通だし、小さくなかったし……!!」
「「聞こえない」」
「ゴルァ、このムカつくクソ虫共め! 二度も同じ事が言えるかって━━━━」
覚悟を決めて頑張った言ったのに意地悪をされ、普段の悪いナス子がこんばんわだ。
しかしその言葉が言い終える前に二人に肩に手をおかれ、耳元に唇が着く程の距離で迫られ低い声で囁かれる。
「「……もう一回言って?」」
「~~~っ、ううぅ!! 耳元で喋らないでっていつも言ってるのに!」
「言わないならずーっとこのままよぉ? いや、俺の俺も辛いけどぉ、そろそろちゃんとナス子の口から聞きたいなぁ~」
構わずトーンの下がった声が耳に息とともにかかりこそばゆい。
それどころか反対の耳にも同じように一松まで喋る始末。
「これだけおあずけしてたんだから、さ。ご褒美に聞かせてくれてもいいよね……ナス子姉さん?」
「っ!? ……!?」
こんな所で久しぶりに一松に姉さん呼びされて急にドクリと脈打つ。
「ず、ズルイ。絶対に聞こえてたのに……」
ブツブツ文句を言っても最早仕方ない。
下を見れば恋人達の下半身は膨らんで見えていて、ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。
我慢したり、耐えたり、くっつきたいのはこの二人だけではなく自分もなのだからいっそもう、理性など捨ててしまおう。
「二人とエッチが、した……い」
「ヒョー!! 聞いたぁ、一松!! 遂に、遂にナス子から言ったよっ、頑張って待ってた甲斐があったなぁ?!」
「うん、しかもシたいじゃなくて今度はエッチとか言っちゃってるよね、可愛い」
「ばっ、やっぱ聞こえてんじゃん!!」
悔しさが相まって二人を殴り倒したいナス子ではあったが、それ以上に悪い顔でニヤついていた二人は本当に嬉しそうで、耳元で囁いていた身体を放しておそ松はナス子を思い切りキツく抱きしめ、一松は小さなガッツポーズをしていて唖然としてしまう。