第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「別に! きき、緊張なんてしてないしっ、こんなのちゃっちゃっちゃ~のすっぱっぱぱ~だし!!」
「それ俺の台詞!!」
上半身が完全に露出された二人が胡坐をかいて前に座っている。
速攻押し倒してきたのに、何故か今度は何もしようとはせず、脱がせた後の高揚感も相まってナス子は俯きながらも不思議に思う。
畳に目線を落としていたのだが、チラリとその視線を少しだけ上に向けて長男、四男と向後に見るとなんだか悪い顔でもしているように目を細められて一向にニヤついて口角まで上げたままの二人に見下ろされていた。
「……んで? ここからどうして欲しいのナス子?」
「そうそう、俺らの事自分から脱がせておいて自分は待ってるだけのつもり?」
「……っ」
我慢してるとか限界とか口にしていたりした癖に、何故今余裕癪々のような表情で見られているのだろうか。
けど、これは言わなければ、恋人として、嫁候補として。
そして自分が素直に成長する為に。
大好きな人に喜んでもらうために。
「お、そ、松」
「おう」
「い、一松」
「ん」
あぁ、自分ってこんなにヘタレだったのか。
いや、ヘタレか、それは今に始まった事ではないにしろこの六つ子はいつも自分から手を出すしシたい事はちゃんと言ってくる。
逆によく言えるなぁ、と感心までしてしまう。
「しっ………」
言うぞ!!と覚悟を決めてパンっと両頬を叩き視線だけ上げて二人に口を開く。
名前を呼ばれた二人はナス子が言う言葉を遮る事はなく静かに口端だけあげて待っている。
もうコチラが言いたい事など、さっきの行為でわかっているハズだ。
「し、しっ、し……っはぁ~………シたい、で……す」
なんとか絞り出して出てきた言葉。
多少どもって深呼吸まで途中入ったがなんとか言えた。
ホっと言えた事に胸を撫でおろし顔を上げると、真顔の二人と目が合う。
「「…………」」
「え、あの、ちょっとー? 聞こえてた?!」
「もっかい言って? 俺よく聞こえなかった! 一松は?」
「は?! ちゃ、ちゃんとハッキリ言ったのに!!」
「ごめん……俺も寝起きだからかボーっとしちゃって聞こえなかった」