第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「たっだいまーッスル!!」
大きな音と共に玄関の開く音がして、夕食の手伝いをしていたナス子が松代から許可をもらい玄関に向かう。
「おかえり、十四松……あれ? いつもの野球着じゃないんだ?」
「ハッ! んとねー、今日は野球じゃないから!!」
「へぇ? 今日はどこで遊んで来たの?」
エプロンで洗った手を拭きながら、若干機嫌の戻ったナス子が十四松の荷物を受け取って一緒に居間に入って行く。
「今日はね、工場━━━━━━ハッ! 工場、け、見学に行った!!」
「工場見学ぅ? そんな工場体験して遊べるような所なんてあったっけ??」
「えっと、えっとぉ……あ! ボク着替えてくるから!!」
「あっ……ぐぬぬ、十四松なら隙をついて聞けると思ったのに、逃げたな」
結局内容はわからぬまま、食卓につきナス子の機嫌はまたも下降する。
無言でご飯を食べ、無言で皆の平らげた皿を下ろし、片づけをしながら悶々としたままの心を引きずった。
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銭湯に向かう際も、七人で歩いていたが他の六人が喋る中、ナス子は無言だった。
「な、なぁ……お前いつまで拗ねてんの?」
「だから拗ねてないし! 別になんでもないから放っておいてくれたまえ」
「って言われてもねぇ、そんなずっと無言で居られたらこっちも調子が狂うって言うのかなぁ。言いたい事あれば言えば? お前いつもはズケズケなんでも文句言うでしょ?」
年甲斐もなく頬をプクっと膨らませ進むナス子にチョロ松が話しかけても、言いたい事は言おうとはしてこない。
「私だっていう時と言わない時だってあるんですぅ、性格悪いのだってわかってるけど今はとにかく放っておいてくれたまえ!」
全員にも質問されるのだが、膨れたままのナス子はそのまま女性風呂にさっさと行ってしまった。
後少しの辛抱だと六人は思っても、さすがに恋人の機嫌が悪いのは気になるし出来る事なら解消したい所だが自分達が今やらなくてはいけない事もある為それを解消させる手立てはなかった。
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