第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「ぼくも起きてるよ~ナス子姉、おかえりなさーい」
「トド松も? あー、もしかしてトイレに丁度起きてたの?」
トド松は、何故かはわからないが夜中にトイレに行きたくなるとチョロ松を起こす。
恐らく消去法でそうなったのであろうが、今ではそれがすっかり定着してしまったようだ。
「んー、まぁトイレにはいったけど、そっちはついでかな」
「え?」
「ナス子を待ってたんだよ。そろそろ帰ってくる時間かなと思ってさ」
「え、え? そ、そうなの?」
深夜にも関わらず必ず誰かしらこの部屋に居てくれる六つ子。
カラ松は違うと言っていたが、これはもう自分の自惚れでもなく、直に待っていたと告げてもらえて、実は今日も六つ子の誰かが下の階で寝ていてくれているのでは……。
と、無意識に期待していた部分もあったのかもしれない。
もしこの二人が今日この場所にいるのが偶然だったとしても、疲れて帰って来た脳と身体には十分すぎるほどの喜びが溢れた。
「うへへ……ついでだとしても、やっぱり待ってる人がいるって嬉しいもんだねぇ、あ、た、ただいまっ」
しまりのない顔をしてナス子がそう言うと、チョロ松とトド松は顔を見合わせて微妙な表情を浮かべる。
「……おかえり。今日も忙しかったの?」
「そうだね、週末だし……でも、2人の顔見たら、結構疲れてたはずなのに、そうでもないような気がしてきちゃった」
「っ……そう、なんだ……あー、もー……ねぇ、どうしようチョロ松兄さん」
「僕に聞いたって仕方ないだろ? 言っておくけど、僕だってお前と同じ気持ちなんだからな」
「だよねぇ~……」
「どしたの2人とも、変な顔して。あ、眠い?」
きょとんとしてチョロ松、トド松両名の顔を交互に見ると、2人とも眠そうな様子はない。
困っているような、笑っているような、呆れているような、どうとも取れそうな実に複雑な表情をしている。