第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
昨日の十四松の営みの所為か完全に熟睡していたナス子は、出勤一時間前のアラーム音で目を覚ます。
大きな敷布団の上、状態を起こし回りを見ると今日も誰一人として六つ子の姿はなかった。
「ふぁ~……静かだな、まるでマンションにいた時みたい。折角みんなと一緒に住む事になったのに、今日も誰もいないのか……筋肉痛が痛い……あ、これじゃ頭痛が痛いみたいになってるかぁ! あっはっは」
「…………もー!!! 誰か突っ込んでよおぉぉぉぉ」
昨日の出勤前の事もあり、やはり寂しさが芽生えてしまう。
ミケ子におはようのちゅーと一しきり構い倒した後すぐに出勤の仕度を始めた。
下の階に下りても、居間にも他の場所にも誰の姿もない。
今日は松代も出かけているようで一人と猫ぼっちだ。
「なぁんか寂しいねぇ、ミケ子ぉ~」
みゃ~
主人の会話がわかるかのような返事を返し、ミケ子が前足で顔を洗っている。
その動作にムム?っとなり、まるで推理探偵かのように顎に手を当てて誰も見ていない事をいい事に一芝居打って遊ぶ。
ミケ子がいてくれて良かった……。
「今日は雨ですかなぁ? ズバリ、猫は雨の前に顔を洗うといいますからな! フフン」
結局待っていても誰も帰ってはこず今日も寂しい気持ちを抱えたまま仕事に向かって行く。
今までは誰かしら家にいて、いってらっしゃいをしてくれていたので物足りなさが心に残ってしまうが、仕事にいってしまえばその寂しさも忘れられた。
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出かける前のもの寂しさを引きずったように、疲れた体を押して仕事から帰宅したナス子。
しんと静まり返った家に鍵を開けて入り、なるべく音を立てないように帰ってくるのが癖になってきてしまっている。
「あ、おかえり、ナス子」
「っう、わぁ! び、びっくりしたぁ……! チョロ松、起きてたの?」
ナス子が襖を開けるより早く、勝手に襖が開いたのでその瞬間メチャクチャびっくりしてしまった。
そこにはチョロ松が立っており、どうやら玄関の音に気がついてナス子を迎えようとしていたらしい。