第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「ただいま、カラ松! ふへへ~、なんかこういうやりとりいいよね! 最近仕事帰っても寂しく感じないのは皆のお陰だね」
「お前が希望するとあらば、俺が毎日待っていてもい」
「あぁ、それは大丈夫」
いくらニートと言えど、連続で寝不足にさせる訳にもいかない。
恋人だの嫁候補だのになったとしても、ちゃんとお互いに気を使って善意を持って生きてはいきたい所だ。
「……? ナス子、何故服がワンピ―スなんだ?」
カラ松がふとナス子に視線を向けて首を傾げる。
「あぁ、今日は定時に上がれたし職場で銭湯入ってきちゃったから! こんな遅くにここのお風呂入るのも悪いかなっていつも思ってたし、パジャマ代わりだよ」
「なるほどな、ちょっと立ってみてくれないか?」
「ん? なに??」
言われたまま立ち上がるとカラ松の視線が痛い。
今日は言葉じゃなく視線が痛いのだ。
「あの……変ですかね? 寝るだけだからいいかなと思った、んだけど」
「いや、ロングのワンピース姿は初めて見るなと思ってな、似合っていて……その、キュートだと思う」
眠たげな眼がより細められてフワリと柔らかくコチラに向く。
付き合ってもう長いハズなのに、この兄弟達は何度自分の心臓を破壊しにくるのだろうと動機が早まった。
「そ、そうかな? こここ、これもしま〇ら産なんだけどね! 後輩に前に持ってた服はダサイって文句ばっか言われたからワンピにしてみたんだけど……」
「そうか、ならばその後輩に感謝だな」
「う、うん?」
円卓に頬杖をついてニヨニヨと花が舞うのではないかと思う程カラ松は幸せそうな表情でナス子を見ている。
食事は済ませたが居た堪れない。
「ちょっと歯、磨いてくるね」
「ああ」
言った後ろからまだ視線を感じる気がする。
思い込みかもしれないがいつにも増してカラ松は嬉しそうだ。
寝起きはあまりよくない癖に、今は夢心地とでも言うのだろうか。