第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
一瞬パチクリと目を驚かせるが折角の機会だとカラ松から抜け出て一松の腕の上に頭を乗せる。
六つ子と言っても感触が違う。
カラ松は少し鍛えた感じで少し硬い弾力がある枕。
逆に一松はふわりとした猫みたいな柔らかさのある枕だ。
「………おお、ふわっとして気持ちいい」
「そう? ……まぁ、鍛えてないからね」
スンスンと一松の胸元の匂いを嗅ぐと、ミケ子や他の猫?のような落ち着く匂いがする。
腕枕もそうだが、それぞれくっついてみると香りも違う。
「一松は猫の匂いだ」
「なにそれ?」
「ふふ、皆匂いが違うのだよ」
なんだか落ち着く感触と一松のゆっくりな雰囲気に先程の地獄の子守歌からも解放されて機嫌のいいナス子。
つい甘えたくなってしまい一松の胸元に顔を擦りつけて、まるで自分も猫になってしまう。
「ナス子って時々自分を危機に追い詰めるような事するよね。まぁ、兄三人にはあんまりこういう事してないけど……」
「危機? なんか危ない事したっけかな? 上の三人には何でだろうね? 私の方が年上なのに年上風をふかせてくるから素直になれないのかなぁ?」
「俺はそれでもいいけどね、都合いいし」
ギュっと抱き寄せられてナス子の髪に一松は自分の顔を擦りつける。
今は我慢だと自分に言い聞かせて、いつもは逆に撫でてもらっている側なのだが、今日は反対に恋人の頭をゆっくりと撫でてやった。
「誰かに撫でてもらうって気持ちいいね~……」
手の感触が気持ち良くて、すぐにでも眠りにつきそうに虚ろな目、虚ろな口調でそう言うと、やがてスースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
「おやすみ、ナス子」
次の日、一松の腕が痺れてしまい暫くその場から動けなくなったのは言うまでもない。
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