第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「酷い! 俺長男なのに!! 恋人なのにっ……もっと優しくしてー!」
「優しくあ~んってしたでしょ?」
「これ違うから、殺しにかかってるからね?!」
「もー、文句ばっか言ってぇ、マイナスばっか溜まってくぞおそ松め」
結局いつものようにおそ松とは恒例の軽い口喧嘩になりながらも夕食を食べ終える面々は揃って二階に上がって行ったが、ナス子は食器を片付けキッチンに向かう。
六人分、しかも食べ盛り青年達の食器は多い。
全員残さず綺麗に食べてくれたので食器を洗いながらもニヤニヤが止まらなかった。
「手伝うよ、ナス子」
「あ、チョロ松」
隣に立つチョロ松は、洗い終えた食器を拭き綺麗に整頓させて順々に場所に分けてしまっていく事にしたらしい。
こういう所が細かくとも、頼りになると思ってしまう。
「最近さぁ、皆ほんっとに変わってきたよね? 前は何やっててもセクハラばっかしてきて何の手伝いもしようとしなかったのにさぁ」
「…………まぁ、これくらいはさ。一応俺だって未来の旦那候補だよ? もし僕と結婚する事になったらこういうのは公平に一緒にやりたいなって思うんだよね」
「ふふ、チョロ松は旦那になったら家事は女の仕事だとか昭和ちっくな事言いそうなのに以外だね。私としてはとても助かりますが~」
「昭和ちっくな考えなんてもう古いよ、お前だって働いてくれてる訳……だし。一応僕も務め先は今探し中なんだよね。さすがに両親に甘えていてもさ、嫁候補が家に一緒に住んでくれるようになったんだし」
淡々と作業をこなすチョロ松は、今の発言がナス子にとって心底嬉しい言葉だとは思っていない。
日頃は残念で煩くて説教も多い彼だが、素になると実は頼りになるのだ。
「へへへ、ありがとうございやす旦那ぁ!」
「だ、だだ、旦那?!」
「あ、いや、そっちの旦那じゃないよ?! 江戸時代みたいな流れで言っただけだしっ」
慌てて発言を真っ赤な顔になりながら否定してしまうと不意に唇を重ねられる。
それはただソフトにちょんと触れただけですぐに離されてしまうが、逆に少し恥ずかしい。
「もう家の中でこういう事しても隠す事もないし、楽になったよねぇ。でもアイツらに見られたら集中攻撃は食らうけどさ」
「ははは、確かに……」