第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
二人から言われた言葉に、ぐしゃぐしゃにされた髪の毛に手をやりながら一瞬唖然とするが、無意識に口元がふよふよと緩んでしまうのは止められない。
しかし、お気に入りのものまで捨てられた事だけは根に持ってやると心に刻み込むナス子であった。
だが……好きな人に褒められるというのは、やはりいつだって嬉しい。
「うへへ……ありがと」
照れ臭そうに、だが嬉しそうに締りのない顔でナス子がそう礼を言うと、二人も満足気に笑顔を零した。
不意に二人に手を握られて甲にキスをされて、ボンっと音がでるかのように真っ赤になってしまう恥ずかしい行為に、胸が仮にも高鳴ってしまい、カラ松だけでなくチョロ松までこのような行為をするのだと驚いたのだが、それよりも照れ臭さの方が大きかった。
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「ナス子ちゃんが一緒に住んでくれるだなんて母さん本当に嬉しいわぁ、父さんも舞ってたくらい凄く喜んでたし!」
「あはは~、松代さんそれ何回言うんですかぁ、一週間毎日聞いてるような?」
「ふふふ、まだ暫くは言っちゃうかも、それに息子達も家事を手伝ってくれるようになったし、いい事ずくめだわ! 本当にありがとうねぇ」
松野家で暮らしだして一週間、義母(仮)は毎日機嫌がいい。
自分がこの家に遊びに来る時もいつも喜んでくれたが、家に入った事でより喜ばれてこちらも心底安心すると言う物。
よく姑いびりだとか聞くが、幼馴染である為かそんな事も全くなく、逆にナス子と共に家事を手伝い出したニート達にも喜びを感じているようだった。
「何言ってるの母さ~ん、家事手伝うのなんて当たり前だよねぇ、だってっここはぼくらの家なんだし! 未来のお嫁さんが頑張ってたらぼくも頑張らなきゃって思うよね~」
「家事なんて今まで一切手伝わなかった末っ子まで野望を抱き手伝うようになったんだから、結婚とは末恐ろしいものだよね」
トド松が母とナス子のご機嫌を伺うようにキューティスマイルで話題を振るも、すぐにチョロ松にブツブツ言われ頬を膨らませる。
「いっつもトド松ばっか逃げるの上手くて手伝いする事少ないもんね!」
「あっ、十四松兄さんまでそんな事言うの?! ぼくだってちゃんとやる時はやるし成長しなきゃ!! って思っただけだからっ」