第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
一つ今川焼きを十四松にもらいナス子は幸せそうにそれを頬ばる。
「ん~、美味しい~! この店のって皮がモチモチしてていいよねぇ、十四松ったらぁ、ポイント高いなぁ、もう500ポイント上げちゃおうかなぁ……もぐもぐ」
「お前ちょっと十四松にばっか甘くね?! 今に始まった事じゃないけどさぁ、俺らだってお前の彼氏よ? もうちょっと公平に考えてくれたってさぁ~」
「……もぐ、だって十四松は私に嫌な事しないし邪魔もしないもん」
甘いのは重々承知。
だけど十四松はナス子の言うようにナス子が嫌がる事はしない。
たまにダサイとか言うけどそれくらい、他のメンバーに比べればまだ出てくる言葉もマイルドである。
それはマリッジポイントも有利に溜まって行く事だろう。
「あははー、一番ポイントが早く溜まるのはボクだよ!」
「十四松……今何点いってるの?」
「んーとねぇ………あれぇ? 忘れちゃったぁ、あはははは」
フッ、計画通り。
ナス子はゲーム画面に顔を向けたまま、ディスノートさながらの悪い笑みを浮かべる。
やはり、やはりだ。
一兆、やつらがちゃんと数える事など出来ないだろう。
そう思うと時間稼ぎもこれから先十分に出来る。
ここの家に居候というか、嫁修行として入ったものの、まだ旦那候補は一人には絞れず、結局の所六つ子の嫁候補としてこの騒がしくニートが六人も集まるどうしようもない空間にやってきた。
泣く泣く大好きで長年過ごしたマンションとお別れするのも辛かったが、それ以上にこの愛すべき馬鹿達と別れたくないと言う気持ちの方が遥かに大きかったが故の決断。
後悔、はしてないと言えばウソになるが一緒に居られるのは嬉しいと思うのも嘘ではない為、半分半分の気持ちである。
だからこそ、全員で松造、松代の元に行き土下座して説得すると、条件としてナス子はいずれは本当の嫁として……と言う断りの中、この家に入る事を強いられてしまった訳だ。
まぁ、結婚よりもとにかく義娘と孫が欲しい両親だ。
まずは義理でもなんでも女性が家に入るという事が何よりも嬉しい事態だった。
あまりの押しと気迫に逆らえないと言うのもあったのだが……。