第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
ここに来たのが早い時間だったのに、色々やっているうちにこうも時間が経っていたのかと驚いてしまう。
「22時37分だね」
聞いたカラ松は一番に立ち上がる。
「カラ松? どうしたんだよ?」
「迎えに行く」
真剣なカラ松の表情は夜間に外出をしたと言うナス子を想っての事だ。
いつも心配性で優しいカラ松は口を酸っぱくするほど夜間に仕事以外での外出は控えろとナス子に言っていた。
「で、でも! ナス子姉は今一人にしてって……」
「でもさぁ、それはアイツの都合だろぉ? 俺らには関係なくなぁい?」
カラ松の横でおそ松も立ち上がるとポンポンと少し痺れた足を叩く。
こっちの事情ばかり押し付けてと反省していたのにも関わらず結局は自分達の好きにする事におそ松は決めたらしい。
「まだ確信には触れられてないんだから、別れた訳じゃないでしょ、僕ら。それにどんな関係になろうがアイツが幼馴染で大事な存在ってのはずっと変わんないからね。僕も行くよ」
「俺も行きたい所だけど、さっきの空気でミケ子が怯えちゃってるから……」
一松は悔しそうに顔を歪めたが、ナス子も一松も大事にしている家族が怯えているのにおいて行く事は出来ず兄達を見上げる。
「じゃあ、一松兄さんは留守番ね! 大丈夫大丈夫!! 姉さんを必ず連れて帰ってくるから━━━━っ」
「ん、宜しく十四松」
そしてまだ答えていない末弟に皆の視線が集まる。
「~~~はぁ、しょうがないなぁ。ぼくだってナス子姉に悪かったって思ってるよ? 思ってるし、このままじゃ終われないよね。結婚して、家に残って養って欲しいって思いだって確かにあったけど……ナス子の事、独占したかったのは本当な訳だし」
それは全員がちゃんと思っている事。
トド松も立ち上がり、ナス子にLIMEを送ろうとするが、その音が部屋の中で鳴り響く。
珍しい事に、ナス子はスマホを置いて外に出て行ったようだ。