第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
マンションに正座のまま残された六人は誰も口を開く事なく下を見ていた。
ミケ子が一松の膝に擦り寄り顔を見上げると、一松はその頭を優しく撫でる。
「……ごめんね、ミケ子……」
「その言葉はミケ子じゃなくてナス子に言う言葉だよね」
「チョロ松兄さんの言う通りだけど……、今は無理なんじゃないかな、いくら取り繕ったってナス子姉が本気でキレると話なんて聞いてもらえないし。今回は自慢の暴力さえなかったんだよ?」
「ボクら……捨てられちゃうのかなぁ?」
「………あぁ、なんて事だ。俺がもう少しナス子にビックな愛を朝まで囁いていればこんな事には……っ」
「カラ松、多分それ全然意味ないから」
「━━━いや、それあながち間違ってなかったかもしれねぇなぁ」
カラ松に突っ込んだチョロ松の会話に割り込み、おそ松は両腕を頭に回す。
「俺達って、いっつも自分達の事ばーっか考えてアイツの事振り回しすぎてたっっつーか……好きだからってやっていい事と悪い事、あったよね」
「……まさか長男がそんな言葉を知ってるなんて驚きだよ。人に気を遣う事すら一番できない男なのにさ」
「あっ、あれは……ほら! 兄弟だったから!!」
一松に気を遣おうキャンペーンの話をされて慌てるおそ松。
しかしおそ松の言葉は全員の心に響いており、自分達が今日ナス子に酷い事をして傷つけたのも理解している。
「どうするの、おそ松兄さん」
「ん~……」
「念願叶ってこのまま好きなヤツと別れるとか……俺はごめんだけどね」
「だからって何かいい策でもあるの、一松兄さん」
トド松がひょっこり顔を覗かせ、一松を伺う。
「ない。でも今まで幸せだった分の幸せ借金がとうとう返ってきたんだったら……もっと俺らは自分達を戒めるべきだと思うんだよね」
「兄さん戒め?! またやる?」
「戒めぇ? 何その暗い話ぃ……一松はそうかもしんないけど別に俺はそんなん思ってないし!」
「と、言うか━━━━だ。今何時だ?」
「え?」
カラ松が真剣に答え時計を見るとトド松がスマホで時間を確認する。
時刻は既に22時過ぎを迎えていた。