第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
だがここで突然、今まで黙っていたカラ松が勝ち誇ったかのような表情で立ち上がる。
なんのことかわからず、おそ松だけでなくナス子も首を傾げてカラ松を見た。
不適でイタイ表情を浮かべたまま、カラ松は今しがたおそ松が勝手に押した書類を二人の前に差し出し、一箇所を指差す。
「おそ松、ここをキチンと読め。なんと書いてある?」
「そんなの俺の書類を見てたんだから俺の名前が書いてあるに決まって…………って、あ━━━━━━━━!!」
「フフーン、書類にサイン及び押印する際には契約内容をよくよく確認するのをオススメするぜぇおそまぁつ」
よくよく確認してみると、そこにはおそ松の名前ではなく、カラ松の名前が。
ナス子がおそ松の書類っぽく見ていたものは、実はカラ松のものだったのだ。
といってもその書類、名前と生年月日等が書いてあるだけなので、ほぼ全員一緒のようなものなのだが。
異なっているのが名前だけだかったからこその確認不足だ。
ナス子はペン尻でかりかりと頭をかき、あー、と間の抜けた声を出しておそ松を見る。
「……えー、というわけで、合格したのは次男カラ松さんだったということでですね……長男おそ松さんはやはり保留ということになりましたので席にお戻りくーださい」
「はぁ?!」
「これぞ下克上だ……! 残念だったなおそ松」
「ふざっけんなよカラ松!! ナス子!! こんなん詐欺だから! 認めないからなっ!」
「…………」
おそ松に抗議をされたナス子は名だけの書類を見つめながら完全無視。
おそ松はガックリと席に腰をおろし、子供のように膝を抱えてそこに顔を埋めた。
(完全無視。もう黙ってなよおそ松兄さん)
「ざまぁねぇなクソ長男」
「チョロちゃんホンタテ!!」