第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
「ボクのセールスポイントはチャンスに強いところ! 年間ホームラン20本はかたいよー! ああ、あとっ、遠投80mはいけるー!」
次々に野球のフォームをとりながらアピールしてくる十四松に、感情がよみとりにくい表情を向けるナス子。
短く一言。
「で?」
「え? でって……えーっとぉ……あ、あっ! バタフライ! バタフライ出来るよー! 赤塚川300mはいけるね!」
「で?」
「え━━━━?! ボクのセールスポイント全然響いてないの━━━━━?! ええーとぉ……えーと……あ、あのっ! 明るい笑顔の絶えない家庭を誰よりも築けると思うよーっ!! すぐタッティするから子供もいっぱい作れるしっ!!」
「確かに。よし、合格」
「ぃヤッタ━━━━━━━━!! 一抜けドゥ━━━━━ン!!」
「「「「「ええええええええ?!?!」」」」」
手元の資料に合格と押印を押すと、十四松はスキップでナス子の横へと立って、目尻を下げて嬉しそうに笑った。
「おいナス子……お前もうちょっと色々考えて合否を出せよ……俺たちにとっては人生がかかってるんだから」
もしかして今殺人でも犯してきました? と聞きたくなるような犯罪者の形相でそう言ってくる一松にチラリと視線を移し、誤魔化すように口笛を吹きながらも足を組んで机の上の資料を指でトントンと叩く。
「わかってるよ、人生がかかってるのは私だって同じだし……でも、あんまりまじめに真剣に考えすぎたら選ぼうにも選べないもん……ノリって大事だよねっ」
「そんな合否の決め方あるか!! 真面目に真剣に考えて選べよ!!」
「うるさいぞ一松チョロ松!! 面接官に楯突くと不合格にするぞー!」
「っていうか本当にこのノリで決めるつもりなの?! 後悔しない?!」
「誰を選んでも後悔するに決まってんだろ終いにゃキレるぞコンニャロー!!」
「あーもー! カオス! なにこれ?!」