第86章 【逆ハー卒業ルート:微エロ有り】プロポーズ大作戦
特に作戦を練った訳ではなかったが、あれからすぐにナス子の元へと向かおうとした長男はまず一番厄介な末っ子を罠にはめる。
と言っても簡単なものではあったが、トド松の前に一番最新のファッション雑誌をチラつかせ、スマホを勝手に弄り疑似着信を鳴らしおびき寄せた後に縛りあげ家を出る。
次男は十四松に野球ボールを見せ、思い切り遠くまで投げ飛ばし取って来いをすると十四松は犬のようにそれを追ってどこかにいってしまう。
三男は家の近くにいた猫を集め、一松の気を引き出し抜く事に成功した。
本当は他の松達も邪魔だったが、自分達の中で厄介だと思う相手、ナス子は弟松達に弱い。
だからこそまずはその三人を出し抜く事が優先的だった。
そんな時間稼ぎも早く追いつかれてしまうと思い、急いでマンションに来たが、お互い長男、次男、三男が集まる事も想定内の範囲ではあったのだが、この三人はあまりお互いを強敵とは思っていない為かなんとかなると思ってやってきたのだ。
「一松兄さんは時間かかりそうだったけど、あんな簡単なトラップにぼくらが時間かかると思う?」
一松だけは、猫を無碍に出来ず戯れていたが戻ってきた十四松に引きずられここに来ていた。
本来ライバルではあるも、十四松と一松は仲もいい。
そして十四松は優しい。
チョロ松の公平と言う言葉の意味よりも純粋に公平に全員でナス子の元へと行きたいと思っていた。
「全く、十四松兄さんも甘いよねぇ。一松兄さんだけでもおいて来れば良かったのに……そしたらライバルも一人減ったかもしれないのにさぁ~」
「そんなのダメだよトド松、だってナス子姉さんはボクらが皆大好きだっていつも言ってるんだから! どうせ一松兄さんも揃わないと話が進まなかったと思うなぁ」
そんな会話から弟達の言いたい事もきっと兄達と同じなのだろうとナス子は推理する。
この前までは普通だったのに急に急かしだした六人に気持ちが追い付かない。
「あのぅ……? 頭が回らないんですけど……」
「いつもの事でしょ?」
「一松煩い」