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【おそ松さん】松野家と年上幼馴染(R18)

第85章 【一松ルート】松野一松の希求




「ねぇ、ナス子……」

「ぐわっ、ちょっと待って一松……っスキルが……! ああっ、死んだー」

「例えば、俺が死んだらさ……ナス子困る?」



 あ、なんかナス子のやってるゲームとタイミングいい感じになっちゃった。まぁいいかそんなことは。

 突然そんなことを聞かれたナス子は、当然鳩が豆鉄砲くらったような顔をして俺を見る。



「困る」

「……困らないでしょ、別に。だって俺ニートだし……なんも社会の役に立ってない、むしろ社会に迷惑かけてるクズですよ?」

「困るってば」

「それってさぁ、困るじゃなくて、悲しいの間違いなんじゃない」



 多分、っていうか、これは自惚れなのかもしれないけど、俺が死んだらナス子は悲しいと、泣いてくれるとは思ってる。

 でもさ、困ると悲しいは違うよね。

 悲しくても、俺がいなくなって困ることは何もない。

 部屋が広くなる、空気中の酸素量が多くなる、食い扶持が増える、布団が広くなる、ほらね、良いことはまだまだ沢山ポンポン出てくるけど、逆は出てこないでしょ。

 俺にそう指摘されたナス子も、言葉を失ったかのように俺を凝視して動かなくなってしまった。


「……ごめん、別に他意はないから、気にしないで」

「一松、違うよ。悲しいし、困るよ」

「だから……」



 ああ、またこんなガキみたいなことを言って、ナス子を困らせる。
 別に困るって言ってほしいわけじゃなくて……いや、もし仮に本気で言っているならそれは勿論嬉しいけど、何をどう考えてもナス子が困る理由なんて見当もつかない。




「だって……一松が死んだら、私、もう生きていけないもん」






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