第13章 レンタル彼氏、俺 おそ松side
そしてナス子は俺から目線を外し仕方なさそうに立ち上がる。
「え、ナス子?」
「チョロ松は自意識ライジングで説教じみてて面倒臭いけど、多分頼みやすい人物だとは思うし・・・説教面倒だけど」
おい、おい待てよ。お前さっき兄弟全員無理って言ってたよな?言ってたよね?
チョロ松の事も否定してたよねー?!
「ありがとう、ごめんねいきなり拉致しておいて変な事言って、チョロ松よりおそ松の方が本当は引き受けてくれる優しい御心の持ち主とか思ってたんだけど…私頼りすぎちゃったよね」
そう言って俺に背を向け襖を開けようとするナス子、これは.......マジで他のヤツに頼もうとしてる!?
「いや、ちょちょちょちょ、待て待て待て」
「俺にしか言えない事だから頼んできたんだろ?今更じゃね?!」
「おそ松だけに用とは言ったけど、言えない訳じゃないよ」
「あー、あー・・・別にやってもいいかなぁ!!! 彼氏のフリとか楽しそうだしぃ?!」
見た瞬間、ナス子の背中がピクリと動いた。と、同時に花が咲いたような表情で振り向いてくる。
「ほんと?! やっぱりおそ松は優しいねっ、信じてた!
あー良かったあぁ、チョロ松に説教されずに済む~ぅ」
あ、これハメられたかもしれない。
だがもうやってもいいと言ってしまった俺、騙されたーーーー!
俺はチョロ松と比べられると何故かいつも張り合ってしまう癖があるらしい。
前にトド松に金貸した時も同じような手で金を貸した事があったんだっけ~。
「あー・・・ったく、しょうがねぇなぁ」
「宜しく、おそ松!」
にっこり笑みで俺の前に座り直すナス子。
いや、にっこりじゃねぇ、ニヤリ顔だこれ。
腹立つーっ