第84章 【R18】【おそ松ルート】おそ松の葛藤
「お願いします!! 一生コイツを大事にするから……っ、だから付き合いを認めてくれませんかああぁぁあ」
床に額を擦りつけ、必死な思いを伝えるおそ松の必死さはこの場にいる二人にもとてもわかりやすかった。
いつもちゃらんぽらんで適当、マイペース、俺様な部分もあるおそ松がこんな真剣になっているのは本当の本当に珍しい。
「く………ふふっ、ふふふっ……あははは、おそ松くん、顔上げて?」
「え、おばさん何で笑って?! 俺超真剣に言ってんのに!!」
「だって、付き合うって言うよりも、結婚の挨拶みたいになってるから……ふふふ、あははは」
そう言われてみればそうだ。
途端ナス子とおそ松は目を合わせ真っ赤になってしまった。
「……馬鹿松」
「おい、俺は真剣に申し込みに来たんだぞ? もうちょっと労わってくれてもよくね?!」
まだ鼻水が止まらないナス子はズズっと鼻水を啜り、皮肉にもおそ松に口を尖らせる。
至って真剣だったおそ松も急にナス子の母に笑われ、拍子抜けだ。
「ま! いつかはナス子をもらってくれたら嬉しいけどなぁ~」
「━━━━え! おばさん、それって……つ、付き合ってていいの?! 別れる気なんて更々ないけどっ」
「別れるも何も、お似合いカップルじゃないのぉ、なんで反対なんてするの? おそ松くんの事は小さい頃から知ってるし、母さんは安心しておそ松くんになら任せられるわよ?」
みるみるとおそ松の瞳に輝きがさし、反動的に隣のナス子を抱きしめてしまう。
「ぎゃああ! ちょっと、親の前でだけはやめろぉおおお!!」
「やったぁあぁあ! ナス子、俺ら別れなくていいって! これからもずっと一緒に居られるぞ?!」
「………っ………や、やめて、それ言われたら私また………」
抱きしめられてポロポロとナス子の眼から大粒の涙が流れる。
おそ松のスーツからはタバコの匂いは全くしない。
それも珍しい事で、こいつは誰だとまた変な事を言いたくなるも、それどころではない。
認めてもらえた事におそ松は歓喜し抱きしめたままのナス子を振り回す。
振り回されたナス子は泣いたまま離れようと必死だ。