第84章 【R18】【おそ松ルート】おそ松の葛藤
「だって、ナス子……昔に男の人に酷い事されそうになったでしょ? あの時、部屋の外から一歩も出なくなったナス子に毎日会いに来てくれて、母さんや父さんが説得しても精神的におかしくなっちゃったナス子は話が通じないし困ってたけど、それを松野家の息子さん達、特におそ松君がなんとかしてくれたでしょ?」
「……あ」
そんな事もあった。
昔男の人に誘拐されそうになった時、ナス子は心底精神を病んでしまい部屋から一歩も外に出られなくなり男性が怖くて仕方なくなった。
訪ねてきた六つ子やおそ松にも酷い言葉を浴びせてしまったり、凄く怯えて泣き喚いた事もあった。
それでも諦めずに一番頻繁に通ってくれていた人物は松野家長男のおそ松だった。
「おそ松君は、沢山問題児だけど……ナス子の事を大事にしてくれてるのは昔からわかってるから、やっぱり母さんとしてはどんなに社会的にしっかりしてる人よりかは、心がしっかりしてる人の方が娘を託せるのよ、だから安心したの」
「お、お母さ~~~ん、うっ、うううぅ~」
「もう! いい歳して泣かないの!!」
反対されて別れろと言われるだろうと覚悟はしていた。
けど、そんな事心配する事などなかったのだ。
六つ子の区別が未だに出来ない母も、昔の事はちゃんと覚えていたようで、おそ松がどんなに幼馴染を大事にしているかを知っているからこそちゃんとダメな所だけでなくいい所も見ていたのだ。
母と言うのはなんと大きな存在なのだろうか、松代といい母といい、自分は幸せ者だと思うと余計に涙が止まらなかった。
母に抱き付き嗚咽を上げながら久しぶりに大きな声を上げて泣いた。
いつの間にか大きかった母は自分よりも小さくなっていてよりナス子の涙を煽る。
「ありがとう、お母さん……ありがとう……私ね、恋ってあれから全然出来なかった。けど、おそ松がその壁を壊してくれたの」
「うん、うん、なんだかお母さんもナス子が泣いてるとつられちゃうよぉ」
「お母さん、大好きぃいい………ううっ、う」
「もう、いくつになっても子供は可愛いものなんだよナス子。ナス子が自分で選べたならお母さんは安心だよ。ちゃんと男性と向き合えてよかったね」