第83章 【R18・一松ルート】意地悪?
二人の体力のなさから二枚重ねられた座布団のようにくっつく二人は息も絶え絶えに気だるさを抱え酸素を取り込む。
「………はぁ……はっぁ……」
「……死ぬ………」
先程、自分が殺すような言葉を発した相手の方がどう見ても死にかけている。
「なん……なんなの! 今日長すぎ! 焦らしすぎ!! Sすぎだしいじめすぎだし……もおぉぉっ」
先に復帰したナス子は重なり合う一松の背中をバシバシ叩き、更に足でケツを蹴りながら不満気に叫ぶ。
「……っは…っは……ま、待って……いて、いてて」
「待たない! 馬鹿ヤロ、コノヤロ! コンチクショー!!」
「事後の余韻とかそういうの……ない訳? 色気ほんとないよね」
「うっさいわ! 説明しろっ、絶対なんかあるでしょ? 最初拗ねてたし」
一度色んな意味で吐き出してしまい、スイッチはもういつもの一松に戻っている為か急に無口へと戻ってしまう。
「…………別に」
「嘘だね、だいたい私に皮肉言ったりいじめたりする時はなんか理由ある時だもん! 早く言えコラー」
「口悪っ」
「いつもの事ですぅ」
両頬を掴まれ、逸らした視線もナス子の目の前に固定され顔を動かす事も出来なくなる一松はジっと無言でナス子を見つめる。
「一松は、誰のもの?」
「は?」
「だぁかぁらぁ、一松は誰のモノなのかって聞いてるんですけどぉ?」
ムイムイと固定されていた両頬を引っ張られ、下に重なっているナス子は顔を顰めていた。
好きになってしまえばどんな仕草だって可愛いし好きだ。
それがいくら残念で天邪鬼で生意気で口が悪い相手だとしても。
似たもの同士の二人。
自分の質問を質問で返されるとみるみる顔が真っ赤になってしまう。
さっきまでの行為の方が、十分に恥ずかしいと言うのに。
「そんなの……言わなくてもわかるでしょ」
「……ノンノンノン、いちまぁつ! 愛は語らないと伝わらなぁい、伝えるこそ愛なのだ! そう! つまりこれは━━━━━━━ん」
「その誰かさんを彷彿させる喋り方やめて、帰ったらアイツブチ殺したくなるから。次も言ったら同じように口で塞ぐから」