第83章 【R18・一松ルート】意地悪?
「おーい、一松? なによボーっとしちゃって」
ふと気づけば思考が先日の様子を思い出していた為遠くにいっていた事に気づく。
いつの間にかナス子が目の前に割り入って至近距離で目を見つめられた。
「え? 俺ボーっとしてた……?」
「うん、いつもしてるけど今日はいつもよりもボーっとしてた。やっぱ何か拗ねてる?」
その仕草すら一松は可愛く見えているのだが、モヤモヤした気持ちを思い出すとそれをかき消すかのようにナス子に口付けてすぐに顔を放す。
「ん…」
「別になんでもないって、それよりさナス子……今困ってる事とかある?」
「え、困ってる事? うーん、ガチャでいいのが出なかった」
そんな事は聞いてないしどうでもいい。
しかしセクハラの件は勝手にスマホを見たと言われると何だか嫌だったのでその事に関して直接触れる事が出来ない。
「いやゲームの話じゃなくて他の事で……」
「他の事ぉ? ……あ! 一松がいつもより相手してくれない!」
「…………」
クソ可愛いなオイ、構ってちゃんかコイツ!
いや、構ってちゃんだったな。たまにクソ長男を彷彿させる時もあるし。
方向が違う思考に変わってしまい元の内容を聞き出したくても心がウズウズと高揚する。
我慢しようにもこんなに近い距離にいてこんなに可愛い事を言ってしまう相手を放っておくなど悪戯心でしてはいたものの、こちらのキャパが爆発しそうだった。
「今日は随分とグイグイ来るね、そんなに俺に構って欲しいの?」
「っ……」
一気に一松のスイッチが悪いスイッチに変わったという事を理解してしまうナス子。
相手の顔は口端が上がり目に悪い光が宿る。
「それならそうと……俺に構って欲しいならどう言うんだっけ、ナス子」
「……………ぐぐぐ、S松に変わったな!」
ヒヒッと軽く笑いを漏らし、一松は前に座るナス子の顔に更に近づき目を覗き込む。
今日は自分から求めるよりも相手からどうしても来て欲しい気分だった。