第83章 【R18・一松ルート】意地悪?
「だから言ったでしょ、俺に言ってもムダだって」
「私の物欲センサーが強すぎただけだもん」
ガチャの結果に項垂れる恋人を見ると自分も細やかながらがっかりした気持ちになるがそれも度々見ているのでそうは気にならない。
「うがあぁぁ、慰めろー!!」
スマホをソファの肘置きに置いて後ろから一松のお腹に両手を回し、またグリグリと頭を擦りつける。
前ではミケ子が一松の手に自分の頭を摺り寄せており、一松は心底幸福な時を過ごしてはいるが、今の幸福が怖いと思う日も初めての感覚ではなかった。
「だめ、ミケ子が先に甘えて来たんだから順番ね」
「えー……くそぅ、そう言われると何もできない」
ニヤニヤと笑って嬉しそうな一松は若干ナス子に意地悪を言い、自分だってさっきまで放置されていたのだからと甘える恋人に待てをする。
「ミケ子、お前のご主人様は欲求バンバンだから不吉な事になったってさ……残念だねぇ、きっと俺らの事放っておいたから罰が当たったんだよ、そう思わない?」
みゃ~
そうだそうだとでも言うようにミケ子が返事をして一松の手をザリザリと舐める。
「うぅ、いつもこんな感じでしょう~」
「まぁ、そうともいう」
一緒にいる空間だからと言って常に構って欲しい訳でもなく近くに居られれば幸せ。
己自身もナス子に対し強い物欲センサーがあるのだ。
あまりその欲求が強くなるとどうなってしまうかと高まる欲求は全ては吐き出せず、行動にも移さずじっと耐える日も少なくはなかった。
取分け拗ねている訳でもなく何の変化も感じない一松を目前に、ナス子は一瞬ニヤリと笑うと背後からその頭をワシャワシャと撫でた。