第83章 【R18・一松ルート】意地悪?
マンションの一室。
最近購入した二人掛けソファに背中合わせになり恋人達は各々好きな事をしていた。
「あ、石溜まったー。一松ガチャボタン押して~」
「あ? いいけど……何でいつも俺に押させるの、自分で引いた方が楽しいんじゃないの?」
「ちっちっち、わかってないなぁ一松! こういうのはね、やってない人が引くからこそいいのが出るんだよ、私は欲求バンバンですから」
「ふ~ん、俺なんかが引いていい事なんてないと思うけどね? 逆に不吉な事が起こるかもよ……ヒヒヒ」
反対側でミケ子とじゃらしで遊び、一松は影を落とし悪い顔で笑う。
「またそんな事言ってぇ、一松と一緒にいて不吉なんて思った事ないし大丈夫大丈夫! はい、引いて!」
背中を合わせていたナス子は向き直り彼にぴっとりとくっつきスマホ画面を目の前に持ってくる。
ギュウギュウと締め付けられた首は中々に苦しい。
「ぐ……ぐるし、抱き着くのはいいけど殺そうとしてない?」
「してないしてなーい、はーやーくー!!」
「……そういうのはこういう時じゃなくて別の場所で発揮して欲しいものだよね、欲求とか、さ」
ナス子に比べれば年齢もまだ若く精力の有り余る青年。
別の場所と言うのは勿論あっち方面の言葉であるも、ナス子は軽く流す。
「レッツぽちっと!」
「へいへい……」
慣れた手つきで言われたスマホゲームの十連ボタンを押して全く興味さなそうにまたミケ子に向き直る一松。
二人が付き合ってから時間も長く経過はしており甘々なカップルと言えど二人ののんびりな空間は付き合う前とは変わらない。
致す事を除いて……ではあるが。
「………」
スマホを手に戻し、画面を真剣な目で見つめるナス子は居直り横向きの体制で尚も一松に寄りかかる。
ゲームをやっていると言えどくっついてはいたいのだ。
それだけ一松相手には甘える事が出来るまでには彼女としての自覚と、自信を持ててきているのがわかる。
「━━━━━━っはぁ、今日はダメだぁ」
がっくりと項垂れる声とグリグリと背中に頭を押し付けるナス子の様子にガチャの結果が想像できる。