第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
「ナス子姉さ、最初に体重測った部屋の床って、あれフロアクッションでしょ?」
「え? う、うん……そうだけど……それがなに?」
「体重計って、畳とかカーペットとか、床が沈み込むところに置いて測ると、正確に測れないんだよ」
「……えっ?! そうなの?!」
確かに、トド松の言うとおり、最初に体重を量ったのは、いつも測る洗面所の床ではなく、リビングダイニングの床だった。
電池を入れ替えて、そのままその場で測ったためだ。
そこはクッションフロアで、畳やカーペットと同じく床が少し沈み込む材質の為、体重計が正確に計測出来なかったと推測される。
「この玄関とか、洗面所の床は沈み込まない硬い床でしょ? だから、こっちで測った体重が本当の体重ってこと」
「な……なぁんだぁ………そうだったんだ……よ、よかったぁぁ」
思わずガックリとその場に膝をつき、大きな溜め息を漏らす。
「説明書に書いてなかったのか……とは、聞くまでもないな……ナス子がヘルスメーターの説明書を読むとは思えないし」
「うぐっ、その通りでございやす……」
体重計など、乗るだけ。以上。
そう考えていたナス子。
アナログ針からデジタルになった今でも、その考えは変わってはいなかったのだ。
「ナス子姉の隠し事なんてこの程度ってことだよねぇ~」
「むっ……そういう言い方しなくっても……っ私にとっては大きな大きな衝撃だったのデス!」
「ああ、ごめん、嫌味のつもりで言ったんじゃないよ、むしろ褒めてるんだけど」
「フっ、そうだな、それは褒め言葉かもしれないな」
「そ、そうなの? それならいいんだけ……ど」
ぐぅぅぅ……と、大きな音が三人の間に響き渡る。
なんの音だとカラ松とトド松が顔を見合わせるが、顔を赤くしたナス子が腹を押さえているのを見ると、思わず口を緩ませて空気を漏らす。
「ちょ……ナス子姉っ、体が正直すぎるんだけどっ! あははは!」
「ははは、そういえば、とっくに夕飯の時間は過ぎていたな……っ」
「ううう……体重が気になってお昼もろくに食べてなかったから……っカラ松! ご飯!!」