第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
何故か呼吸まで止めているナス子が、電子音と共に逸らしていた視線を足元の数字へと移すと、がっくりと項垂れてそれから降りる。
「……増えてます……しかも、何故か朝測った時よりも200g増えています……増えています……」
「200gなんてトイレ行って大きい方したらなかったことになるから……それよりも……ねぇ、ナス子、そこじゃなくて、今度は玄関に体重計置いて測ってみてよ」
「え? 玄関? なんで?」
「いいから」
訳がわからなかったが、トド松に言われた通り、体重計を持って玄関へと移動し、そこで体重を測ってみると……。
「あ……あれ?! さっきより2,2kgも軽くなってる!」
「やっぱりねぇ」
後ろから聞こえた声に勢いよく振り向き、驚いた表情でトド松を見やる。
「ど、どういうこと? なんで玄関で測ると体重が軽くなるの?!」
「あのねぇ、体重が軽くなったんじゃなくて、今のその体重が、ナス子姉の本来の体重なの」
「で、でも、朝とさっき測った時は……」
「ああ、なるほどな……そういうことか」
「母さんも最近までよくやってたよねぇ、やれ太っただの痩せただの」
「ちょ、ちょっと! 二人だけで納得してないで、私にもわかるように説明してほしいんだけど……!」
とりあえず全員で部屋に戻り、ナス子が二人に体重を見せるのは嫌だと断固として拒否をしたので、代わりにカラ松が実践してみせる。
「いいか? まず、朝ナス子が測ったこの場所で体重を測ってみる……よし、この数字を覚えていてくれ」
「う、うん……」
カラ松って、見た目より結構体重あるんだな、と思ったが、ここは口には出さないでおく。
そんなナス子の内心を知る由もないカラ松は、体重計を手に再び玄関へと戻り、そこでもう一度体重を測る。
足元の数字を覗き込み、ナス子が声を上げる。
「あっ! あれ? さっきより2kg……減った?」
先程計ったばかりのカラ松の体重より減っている。
まさか部屋から玄関に歩いてくる間にカラ松の体重が2kg減ったとは考えにくい。
となると。