第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
ナス子から全ての話を聞いた二人は、明るくなった電気の元、ナス子の体をじっと見つめた。
「3kgも太ったように全然見えないけど……まぁ元々細いわけではないからかもしれないけ」
トド松が言葉を最後まで言う前に、その弁慶の泣き所にナス子の鉄拳が飛ぶ。
「どぉっ痛ぁ!! なにすんのっ!!」
「ハッ! ごごごごめんっ! ついっ!」
「だが、確かにトド松の言うとおり、そんなに太ったようには見えないぞ? さっき体をくすぐった時も別段そうは感じなかったし……」
「で、でも、確かに先々週? 測った時より増えてて……」
それが500gや1kgならそれほど気にもならなかったのだが、事態は3kgだ。
3kgのお肉を君はスーパーで見たことがあるか。
いや、ほとんどないはずだ。
3kgとは、それぐらいの重量なのだ。
体重が50kgだとしたら頭がもう一つないし腕がもう一本増えるぐらいの増加となる。
ほら、途端に3kgが重いように思えてきただろう。
「ナス子、もしかしたらヘルスメーターがおかしかったのかもしれない可能性もある。もう一度今測ってみたらどうだ?」
「えっ?! い……いいけど……見ないでねっ!?」
「見たくないよ別に……」
乙女の体重は最大のシークレット。
それはナス子といえど例外ではなかった。
カラ松に言われたとおり、体重計を手に洗面所から戻ってきたナス子が二人の前でそれを床に置き、静かに乗る。
体重計に乗る人というのは、何故静かに足音も立てず乗るのだろうか。
それが乙女の純情というものなのかわからないが、静かに乗ろうが音を立てて乗ろうが、重さが変わるわけではない。