第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
気付けば、先程までしていた雷鳴は聞こえなくなり、雨はまだ強く振っていたものの、停電も復旧し部屋に灯りが戻ってきた。
日はすっかり沈んでいたようで、部屋の中も暗かったので気付かなかったが、窓の外は電気が復旧した後も真っ暗だった。
明るくなったシーリングライトの下、ナス子は渋い顔をして二人の前に正座していた。
「「 太った??? 」」
「は、ハイ……3kgも……」
自分の言った言葉に、暗い表情で床を見つめるナス子。
顔を見合わせるカラ松とトド松。
なんだそんなことかと、内心二人は胸を撫で下ろした。
「なぁんだぁ……ぼくはまたてっきり、ナス子姉が浮気でもしてるのかと思っちゃったじゃん」
「実はオレも……もちろんナス子のことを信用していなかったわけじゃないが……どちらかというとオレ達がどうしようもなくて愛想を尽かしたという理由の方がありそうだと」
「へ? う、浮気なんてするわけないじゃんっ! アンタ達がどうしようもないのは昔からだし……今更そんなこと気にならないよ……」
なんのフォローにもなっていないが、とりあえずここは納得しておくことにしようと、二人は頷いた。
そして改めてナス子に向き直り、その頭から足までをじっと見つめる。
「なるほどねぇ、だからダイエットの一貫として、買い物も車じゃなくて徒歩で行ったってことか」
「う、うん……そういえば最近歩いてなかったなって思って……」
「そうしたら、そんな時に限って特売をしていて買いすぎてしまったというわけだな」
「はい……重い物持って歩いた方が消費カロリー増えるかなって、思って……」
時は少しだけ遡り、今日の早朝。
仕事から帰って来たナス子は、いつも通りシャワーを浴び、軽食を食べて、ミケ子と戯れ、趣味に没頭してから眠りについた。
次の日は休み。
いつもなら日が傾くまで寝ているところなのだが、今日は午前中にパチリと目が覚め、不思議と体もスッキリとしている。
睡眠時間は短めだったが、時々どうかするとこういう日がある。