第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
「っあ、雷は止んだかな……! ちょっと音が遠くなってきたよねっ」
「ん? ……ああ、そうだな、言われてみれば」
チョロいカラ松はいとも簡単に誘導に乗ってくれるのだが、末弟はそうはいかない。
不自然なナス子の態度に、ただでさえ凝らしている視線をさらに怪訝に細めると、ずいっと顔をナス子に近づけてじっと見つめる。
「な、なに……トド松……」
「……ナス子姉……正直に言って欲しいんだけどさぁ……」
「な、なにを?」
「ぼく達に、何か隠し事してるでしょ」
それは疑問系ではなく断定的で、有無も言わさぬトド松のよくわからない迫力に、ナス子は図星とばかりに生唾を飲み込み冷や汗を吹き出す。
「なっ、なっ、なななな、何かって?! べっ、別に何も」
「いやメチャクチャつかえてるから、怪しすぎるからっ、顔に隠し事してますって、さっきからずーっと書いてあるんだよね」
「え?! 嘘っ! どこ?!」
「ほらぁ」
思わず両手で顔を押さえたナス子に、トド松の冷めた目線が突き刺さる。
これでは是と言っているようなものと同じ行動を取ってしまったナス子が負けじとばかりに恨めしげな視線をトド松に向ける。
カラ松だけがそんな二人を見ながらキョトンとしていて、小首を傾げていた。
「ナス子、オレ達に隠し事があるのか?」
「え、だ、だからっ……べ、別に隠し事ってわけじゃ……ない……ん、だけど」
本当に後ろめたいことがあるわけではないのだが、隠し事があるのは事実。
カラ松がどう、とかトド松がどう、という話ではないのだが、指摘をされるとどもってしまうのは何故なのか。
ナス子の態度に、トド松はすっかり疑惑の視線を向け、カラ松も先程とは変わってトド松に同調するような空気だ。