第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
ナス子のそんなところが、こんな時には役立つもので、早々に目的の物を手にして戻ってきたナス子が笑顔を見せる。
「じゃーん! やっぱりあったよー! ほら見て3つも! 結構大きいし、これなら何時間も持ちそうだよー」
早速それに火を灯すと、ゆらゆらと優しい光が広がり、三人と一匹を照らす。
「蝋燭の火ってなんか、なんでかわかんないけど幻想的だよねぇ」
「ぼくも同じこと思ってたところ。なんかクリスマスみたいでそう思うのかなぁ。蝋燭の火見るのって、誰かの誕生日とか、クリスマスとかだけじゃない?」
「なるほどねぇ、そうかも」
なんとなく全員が蝋燭の火を見つめたまま無言となる。
外では相変わらずの天気が雨風雷と騒がしいが、不思議とそれもあまり気にならなくなるほど無心で見つめてしまう。
「……ナス子」
「ん? なに、カラま……」
静かに名前を呼ばれカラ松の方へと顔を向けると、不意に唇を重ねられ言葉を飲み込む。
それはただ触れるだけのものだったが、何故だかひどくエロティックなものに思えた。
「すまない、急にしたくなってしまって」
「べ、別にそれは、い、いいけど……」
照れ臭そうに視線だけを逸らしたカラ松の顔は、蝋燭の灯りのせいなのかはわからないが赤くなっていて、少し伏せた目が色っぽく見えてしまった。
「あ、ズルいっ、カラ松兄さんばっかり! ぼくもしたいっ、ナス子姉……」
「う、うん……」
顔を近づけてきたトド松のほうへ顔を向け、そっと唇を重ね、目を閉じる。
カラ松とのキスも、トド松とのキスも、もう何度してきたかわからないほどなのに、まるで初めてのことのように、不思議なほど胸がドキドキと早鐘を打ち始める。
しかし、この後の展開を予想したとき、ナス子には大変よろしくない事態になることは間違いない。
今日はなんとなくそれを避けたかったナス子は、やんわりとこの空気を変えようとする。