第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
「天気予報でもここまで崩れるとは言ってなかったんだけどねぇ、この時期は結構天候変わりやすいもんね。あ、私シャワー浴びてくるから、二人はゆっくりしててねー」
「ああ、珈琲を淹れておくから、出たら飲むだろ?」
「飲むっ、あっ、でも、アイスコーヒーの気分だなぁ」
「ふっ、わかっているさ」
ナス子がシャワーを浴びに浴室に入ると、カラ松は台所へ、トド松はテーブルの脇に腰を下ろし、スマホをいじりだす。
そこへ、何処にいたのか、ナス子の愛猫ミケ子が現れ、トド松の後ろでニャアと小さく鳴いた。
「あれ、ミケ子どこにいたの? そういえば姿が見えなかったね」
ミケ子の頭を撫でそう言うと、ごろごろと小さく低い音を喉で鳴らし、しばらくその手に擦りついていたが、最終的にトド松の膝に乗ってきてそこに落ち着いた。
「トド松、お前はソイラテの方が……ん? 珍しいな、ミケ子がトド松の膝の上に乗るなんて」
「ホントだよね、ぼくもちょっとビックリ。フフっ、一松兄さんが猫と戯れてるの見ても別になんとも思わないけど、こうやって甘えられると嬉しいもんだね」
「ああ、そうだな。もしかしたら、雷が怖いのかもしれないな……動物はそういうことに敏感だから」
「なるほどねぇ、今最新の天気予報見たら、これからもっと大荒れになるみたいだよ、爆弾低気圧がどうのって」
「大丈夫だぞミケ子、ナス子もオレ達もいるからな」
少し乱暴に頭を撫でられると、カラ松を一瞥したがすぐにまたトド松の膝の上で丸まり顔を隠してしまったミケ子に苦笑し、屈んでいたカラ松が立ち上がる。
「トド松、ソイラテのほうがいいか?」
「んー、いいよ、みんなと一緒で」
「オーケィ」
しばらく、部屋には台所から聞こえてくるカラ松の鼻歌と、食器の当たる音、お湯が沸く音などだけがしていたが、シャワーを終えたナス子が脱衣所の扉を開けたのとほぼ同時、突然外でけたたましい音が鳴り響き、思わず全員が小さく悲鳴を上げた。
「うわっ、ビックリしたぁ……なに、雷? だよね」
「ああ、近くに落ちたのかもしれないな」
トレイに三人分のコーヒーを淹れてテーブルに置いたカラ松が窓の外を確認すると、またピカリと一瞬強い光が視界を照らし、数秒もしない内に耳を塞ぎたくなるような轟音が鳴り響く。