第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
裸足で部屋に上がり、全員着ていた服を脱ぎ新しい服に着替える。
何故ここに全員分の着替えがあるかというと、なのだが……それは、ここにいる三人が恋人同士という関係だからである。
厳密に言えばそれも正しい言い方ではなく、正確には松野家の六つ子は全員、ナス子と恋人関係だ。
どうしてそのような関係に至ったかは長い話になるので割愛するが、常識的に、とか、世間一般的に、などの言葉とはかけ離れたその関係は、本人達全員が了承していることであり、それならばそれでいいじゃないかという結論に至っているとだけ言っておこう。
トド松が脱衣所からひょこりと顔を出し、スーパーの袋の中身を漁っていたナス子の背中に声をかける。
「ナス子姉~、身体冷えちゃってない? カラ松兄さんがお風呂入れようかって」
「ん? あー……うん、そうだね、冷えてはないけど、汗と雨でベトベトしちゃったから、入ろうかなぁ。でもシャワーだけで大丈夫だから」
「りょーかい。カラ松兄さん、ナス子姉シャワーだけでいいってさー」
トド松がそう言いながらタオルで濡れた髪の毛を拭きながら脱衣所から出てくると、その後に続いてカラ松もリビングへと戻ってくる。
コタツ布団の片付けられたコタツテーブルは、今はすっかり春夏の装いでスッキリとしていた。
カラ松が窓の外に視線をやると、外は先程よりもドシャ振りの雨で、遠雷も確認出来た。
風も出てきて、窓に当たる雨風がガタガタと音を立ててその強さを物語っていた。
「急いで帰って正解だったな」
「ホント、あと5分10分遅かったら危なかったね」
トド松も並んで窓の外を見て、遠くで雲が光るのを見ると、うわぁと小さく悲鳴を上げる。