第82章 【逆ハー卒業ルート】なんという事態…! カラ松&トド松
結局、一つ4kgはあろうかという荷物を、カラ松が二つ、トド松とナス子が一つずつ持ち、共に帰路を歩く三人。
「いやーホンット助かっちゃった……二人が通りかかってくれなかったらどうなっていたことか……ありがとっ!」
「ふっ、これくらいどうってことはない……だが、自分が持てなくなるほど買い溜めをするなんて珍しいな。行く前にオレに声をかけてくれてもよかったんだぞ?」
「あはは……出掛ける前はこんなに買い込む予定じゃなかったから……それに」
「それに?」
「ううん、なんでもない。あ、トド松大丈夫? 一番軽いのを渡したつもりだったんだけど……」
「大丈夫だよ、一応これでも男だしね。重いには重いけどっ」
「うぐっ……すみませんっ」
普段は車で買い物に行くことが多いナス子が、手で持って帰らなければならないということを失念していたのは事実。
車なら多少荷物を多く買おうが、大きい物を買おうが、車に乗りさえすれば、後は個別に運べばいいだけであり、実際これまで買い溜めをする際はそうしていた。
今日は、買い溜めをする予定がなかったこと、徒歩で買い物に行ったこと、思わぬセールが実施されていたこと、徒歩で来たことを失念していたこと、様々な要因が重なり今の事態となってしまったのだが、それも全てはナス子の最後の失念が最大の失敗であり原因と自分でもわかっていたので一切の言い訳は出来ない。
「大体さ、さっきも聞いたけど、どうして徒歩なの? いつも買い物は車でしょ?」
「あー……えっと……天気良かったからっ」
「これ以上ないぐらいの曇り空なんですけど」
呆れきったトド松の言葉に、ナス子は目を逸らし、カラ松が空模様を見ようと顔を上げると、その頬にポタリと大きな一粒の水が落ちた。
「マズイな、降り出してきた。急いだほうが良さそうだ」
「うわっ、ホントだ! これじゃ傘も差せないし……仕方ない、走ろう! ナス子姉っ、カラ松兄さん!」
「う、うんっ!」
重い荷物を抱え、走り出す三人。
ナス子の住むマンションまではまだ少し距離があったが、本降りの中帰るよりはマシと、帰路を急いだ。
ポタリポタリと、その雫は落ちてくる間隔をどんどん短くし、5分もしないうちにそれは多くの線へと代わり、街を、人を濡らしていった。