第81章 【十四松ルート】ステイ
「姉さんもボクとおんなじ事思ってたんだね!! 良かったあぁぁぁ」
「もう、逃げないでよ? 嫌われちゃったのかって心配したんだから!」
「嫌いになる訳ないでしょぉ、だってボクは姉さんが欲しくて欲しくて堪らなかったんだから! 身体だけじゃないよ? 姉さんの気持ちとおんなじ!!」
向かいのテーブルの上に勝手に乗っかる十四松はナス子の前に来てその両頬を自分の手が出ていない袖で包み込む。
「あは、やっと触ってくれたぁ」
「ふふ、姉さんにやっと触れたぁ」
二人の和んだ空気をひしひしと感じる一松。
このままでは何かがおっぱじめられそうで気が気ではない。
「姉さん、ちゅーしよう?」
「ふは、いつもは聞いて来ないでも勝手にする癖に何を急に言ってんのさ」
笑ったナス子の唇に、やっと自分の唇を軽く押し付ける。
テーブルに乗っている十四松を叱らなければいけないのにその思考はステイされていた十四松からの愛に満たされてしまいすぐに顔に熱がこもる。
「ん……っ……は、ぁ」
「ん……姉さん、口あっついね、ボクの事待ってたの?」
ニコニコした顔はそのままなのに、ニヤリと口を上げる十四松の顔は可愛いよりはゾクゾクとした男性に変わる。
「っ……そう、だよ!! 言わせんな、バーカ!!」
「あはははぁ、姉さんはボクに甘いね!」
「ぐ……、十四松が素直だからこっちも絆されてるの」
テーブルの上の十四松の首に手を伸ばしその胸に顔を埋め彼の香りをめいっぱい吸い込む。
十四松はいつもお日様を思わせるような香りをしている。
「………あー、姉さん」
「ん、なぁに十四松」
「我慢、しなくっていいんだよね?」
言われた言葉に目を丸くするのはナス子だけでなく一松もだった。