第81章 【十四松ルート】ステイ
「で、余計な事って?」
「あー……」
少し口を開きずらかったが、元の原因は自分達にあるという事で一松は事の発端全てをナス子に話して行った。
「あ~……なるほどぉ。私疲れて見えてたのか、全然気づかなかった」
「うん、かなり疲れて見えてたよ。その原因が十四松なのかと思ったから変な事言っちゃったけどさ……実際はどうなの?」
「……んー、それもない訳、じゃなかったけど。ちょっと仕事が立て込んでて余計に疲れてたのはあるよねぇ。でも十四松といるとそれも吹き飛んじゃうからそういう事してても体力は減っても精神力は回復すると言いますか……へへへ」
「惚気アザーズ……ぺっ」
「おい、唾を吐くな」
本音を言えば、これは十四松がナス子に言わなきゃいけない事とさっき公園でも話していたのだが、一松もナス子と同じネガティブ思考を持つ男。
だからこそその思考は理解出来、内容を知るまでは悶々と考えてしまうだろうと心配になり心底眠くなった体でも頑張ってナス子が帰ってくるまでマンションの前に座っていたのだ。
「我慢かぁ、我慢なんてする必要ないのに。十四松らしくないと言うか、いや。でも優しい十四松だからそういう事も考えちゃうのかぁ」
「まぁ、十四松はそういうヤツだからね」
「うんうん、納得いった! 教えてくれてありがとう一松ぅ、頭を撫でてしんぜよう!」
理由がわかるとズキズキと痛んでいたナス子の心臓も止み、安心して一松の頭をグシャグシャに撫でる。
眠た気な顔はいつも以上に眠そうで、一松の思考が半分吹き飛ぶ。
ナス子の顔を見て徐々に顔が近づきナス子も一瞬だけ無意識に身構えると、一松の顔がコテンとその肩に乗っかった。
「………ねむ……い」
「でしょうね、いつもならもうグッスリ眠ってる時間だもんねぇ」
最後に一松が言葉を告げると、寄りかかったままスゥスゥと規則正しいい寝息が聞こえてふっと口元が綻ぶ。
弟や幼馴染にここまでしてくれる可愛い弟の頭を撫でて床に寝かせてやり、部屋にある毛布を出して一松の上にかけてやる。