第81章 【十四松ルート】ステイ
「なに言ってるのー! 二人が言ってくれなかったらさすがにボクも気づけなかったから二人が気にする事じゃないよ!?」
この言葉は素直な十四松から出る言葉で他意は全くなく、その純粋さにやはり浅く息を吐いてしまう二人は同じようにジャングルジムのてっぺんに昇り、十四松を真ん中に挟むようにして座る。
「まぁ、全部が全部冗談かと言えば嘘になるけど……でもナス子姉はそんな十四松兄さんを好きになったんだと思うよ」
「俺らがどう伝えたって伝わらなかった想いも伝わった訳だし、それにあのナス子だよ? 嫌なら嫌ってハッキリ言うでしょ」
「えーと、でも姉さんはボクに優しいから……」
そこが引っかかってしまう、甘えに甘え欲求が果てるまで求め続けてしまい、最近ではもっと欲しいと言う我儘さえ出てきてしまった。
身体だけでなく心全部を自分だけのものにしたいという我儘な欲求。
そんなの自分らしくないと思っていたのに、兄弟に言われてその感情に気づいてしまった十四松はこれ以上ナス子に負担をかけるのが怖くなっていた。
「好きってさ、どんどん大きくなって我儘になってくんだね」
「そういうもんなんじゃない? 仮にも恋人同士なんだし」
「ナス子姉は確かに十四松兄さんにはいっつも甘いけど、それは十四松兄さんと同じで大好きだからでしょ? 十四松兄さんもいつも自分から言うんじゃなくて聞いてみたらどう?」
トド松の言葉に十四松は唖然として口と目を大きく開く。
思い返せばコチラが好き好き言って向こうも好き好き返してはくれるがどうして欲しい等と言う話はした事がないし、自分の事をどれだけ好きかなんて聞いた事もなかった。
両想いなら当然二人共大好きで、当然する事はするし嬉しい事だとずっと思っていた。
けど、今弟に言われてストンと心の中に落ちたのは自分が一方的に好きを大きく肥大させているからで、ナス子の好きがどのくらいかと言う物がわからなかったから不安になっていたのだ。