第81章 【十四松ルート】ステイ
「あ! そ、そろそろ姉さん仕事だよね!! ボク顔が見たくて来ただけだから! 今日は帰るね……お、おじゃましましたああぁぁ」
「ええぇ?! ちょ、ちょっと十四松、十四松うぅぅぅぅぅ」
まるで嵐のようだ。
突然やってきて、突然消える。
そして何か心の中にざわつきを残し去って行ってしまう。
「もう、なんなの一体……って、もしかしてこれ、け、け、ケンタッキー!?」
違う、倦怠期だ。
突っ込み不在の為、誰にも突っ込んではもらえないが、自称ケンタッキーと勘違いしてしまうナス子はどうしてそうなってしまったのかとわからぬまま、不安な気持ちを抱え込んだ出勤となってしまった。
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松野家の食卓にて六人が並んで夕食を堪能しているが、いつも元気にご飯を平らげる十四松の姿は見られなかった。
そこには若干気まずそうな一松とトド松がチラチラとその様子を見るも、何もしらない兄三人は不思議に十四松の姿を見ている。
「おい、十四松! なんだよ、どうしたんだよぉ、元気なくね?」
「これが思春期と言うヤツか……フフ、じゅうしまぁつ! 何か悩みがあるならこの頼れる男のカラ松が」
「この年齢で思春期とかないから。カラ松が喋ると面倒臭い事になるから黙っててくれる? 何かあったの十四松」
十四松がこんな大人しく食卓のご飯に手をつけるのは久しぶりだ。
例の彼女の時以来だろうか。
兄三人はそんな事を考えていたが、四男、末弟は昼間に言ってしまった言葉が何か関係しているのではないかと嫌な予感を抱えた。
「別に、何もないよ! レンアイって難しいんだなって思っただけぇ」
「も、もしかして十四松兄さん……ぼくが昼間に言った事、気にして……る?」
一行に気まずそうなトド松が箸の動きを止めて十四松を覗き込む。
すると声をかけられた相手はニパっと笑い首を振った。
「ううん、トド松のせいじゃないよ! ボクが考えてそうする事にしただけだから!」
「そ、そうする事って……そこもうちょっと教えてくんない?」
同じく心配そうにしていた一松が質問をかけると、ニッコリとした表情のまま一松にも十四松は答える。