第12章 愛の鞭 カラ松side
「んじゃあさ、鍵を増やすのは嫌だから、どうしても鍵が必要な時は一松から借りてもらうしかないけど、その代わり、私のスケジュールを毎月カラ松に教えるってのはどう?」
「え?スケジュールを?」
「うん、掃除とか、家事やってくれるのはやっぱり私も助かるしね。スケジュールを教えておけば、私が休みの日にウチに来れるでしょ?私休日は大体家にいるからさ。出かけてたらゴメンだけど」
「・・・それは・・・、オレだけ、か?」
「オレだけっていうか・・・他に教える人いないでしょ別に・・・」
「そ、そうか!」
よし!予定とは違ったが、これもまたオレだけの特別・・・!
「よし、じゃあそろそろ帰ったほうがいいよ」
「え・・・?」
急だなシスター?!
この間もそうだったよな?
普通人を帰らせたい時はもうちょっと遠回しに言わないか?!
ナス子はリビングに置いてあった仕事用の鞄から一枚の紙を取り出すと、それをオレに手渡してきた。
「それ私のシフトだから。一応個人情報だから、無くしたり誰かに見られたりしないでね?一松にも取られないでね?」
「フッ・・・わかったぜシスター・・・今度こそちゃんと見つからない場所に隠しておくさぁ」
「いやだからそれはドコなのよ・・・さぁさ、疲れたし、シャワー浴びてスッキリしたいの! 帰った帰った~!」
ナス子の予定を把握するなんて、なんだかマネージャーになった気分だな。
アイドルとは程遠いが・・・。
そんなことを思っていると、ふと、コインランドリーで奢ってもらった炭酸ジュースがまだ残っていた事を思い出し、持って帰ろうとくるりと方向を変えると、オレの背中を押していたナス子に俺の腕が当たり、その拍子にナス子は足を滑らせる。
「え」
「あ、危ない!」