第12章 愛の鞭 カラ松side
「ノンノン、そうだがそうじゃない。指の先についているものはなんだと聞いているんだ」
ナス子が少し俺に近づき指の先を見ると、首を傾げて答える。
「埃?」
「ビンゴ!そう、埃だ。これは何なんだ~?ん~?」
「いやだから埃でしょって」
「なってない・・・なってないぞナス子!」
「は?」
怪訝そうに眉を潜め、心底意味がわかりませんという表情。
「普段から掃除をしていない証拠だ・・・! ココも! 此処も!」
そう言いながら家中の至る所に人差し指をなぞりつけていくオレ。
そんなオレをまるで一松のような目で見つめているが、そういう視線には慣れているんだ、怯まないぜぇ~?
「ナス子の掃除は・・・・・・・・・失格だ!!」
「継母?! イジワルな継母にでもなったつもりなの?!」
「よく見れば、床も四角い所を丸く掃いているようだ・・・まったくなってない!フッ・・・これはもう仕方がない・・・掃除のプロ、このカラ松が何とかしてやらねばどうにもならない!」
「はい?!」
「と、いうことで! やはりオレにはスペアキーが必要だ・・・どうしても必要だシスター・・・! 掃除をオレにしてもらえれば楽だろう~?ゲームをやれる時間が増える、マンガを読める時間も増える、リトルキャットとの戯れの時間も増えるんだぜ~? フフ~ン??」
「カラ松は結局私を甘やかしたいの、ちゃんとさせたいの、どっちなの?! わからん奴だな! ・・・まぁ確かに?それはその通りなんだけどさぁ・・・てか、どうしてそこまでスペアキーにこだわるわけ?」
「え?い、いや、それは・・・だから・・・」
オレだけ特別、というのが嬉しかったというのを、素直に伝えるにはなんだか恥ずかしい。
オレが口篭っていると、ナス子はう~んと腕を組みしばらく何かを考えると、ポンと打ち手をしてこちらを振りかえる。