第12章 愛の鞭 カラ松side
後方に転びそうになったナス子の腕を反射的に掴み、ぐっとこちらに引き寄せる。
勢い余って抱き寄せるような形になってしまった。
なんてベタな・・・今時流行らないぜぇ?
しかも残念なことに相手はナス子だ。
だがしかし・・・・・・・・・今のオレ・・・イケてたんじゃないかぁ~?
相手がナス子なのはホントに非常に残念だがそれはこの際置いといて。
しばらく・・・と言ってもほんの数秒だが、オレがそんなことを思いそのままの体勢でいると、ぐいっとナス子の方から体を離される。
「すまなかったシスター、急に振り向いたら危なかったな。怪我はないか?置き忘れた炭酸を取りに戻ろうと思ったんだが・・・」
「・・・・・・・・・・・持ってくる」
ナス子は俯いたままくるりと方向転換し、一言そう言うとリビングへと戻ってしまった。
すぐに戻ってきてオレにペットボトルを差し出し、それを受け取る。
「サンキューだシスター・・・・・・シスター?どうしたんだ?何だか少し顔が赤くないか?」
まさか、今どこかを痛めたのか?
そう思い顔を覗きこもうとすると、ばっと顔を上げ俺を睨みつけるようにして見上げてくる。
「どっ、どうしたんだ」
「何でもありません~!! 大丈夫大丈夫、何ともないから!ホントに! じゃあねカラ松! またね!」
「お、おい」
半ば強引にグイグイとドアの外に押し出され、バタンとシャットアウトされてしまった。
一体なんだと言うんだ・・・
訳がわからず帰路についていると、途中腕を組んで歩くラブラブカポーとすれ違う。
フッ・・・爆発すればいいのに・・・
と、いつもならそう思って終わりなのだが。
オレは自分の右手を見て、なんとなく先程の出来事を思い出す。
「ナス子・・・柔らかかったな」
まぁ、あれだけ脂肪がついていればな・・・・
普段触れることの無い感触に、オレはそんなことを思っていた。
やはり少しダイエットをさせたほうがいいかもしれない・・・