第12章 愛の鞭 カラ松side
「だってほら、洗濯手伝ってほしくて『特別』にスペアキーを渡してたわけだから」
「そ、それはそうだが・・・」
「結局今は一松が持っちゃってるみたいだけど、一松はミケ子のお世話してくれてるから仕方ないもん。鍵増やさなきゃかな~と思ってたけど、良かった良かった」
ナス子はニコニコと嬉しそうに話すが、正直なんと言うか・・・
オレにとっては、何だかあまり嬉しくない展開だ。
「えっと~いや! ほら、どうせナス子姉の場合は今日はちゃんと出来たとしてもまた同じ事を繰り返すだろ?!」
慌ててオレが反論すると、ニコやかな表情のままナス子は答える。
「いや~、今日のことはさすがにショックだったからねぇ、二度と言われない為にも、これからもちゃんと頑張ろうかなって。確かに面倒臭いしサボりたいし、誰かにやってもらえたら楽だけどさ~」
「いやいやいや、頼ってくれていいんだぜぇ~? ほら、他にも部屋の掃除とかあるだろ・・・?!」
密かに嬉しかった『オレだけの特別』を一松に奪われ、実は悔しいと思っていたというのになんたる試練!
神はオレに優しくないらしい。
これが本当のOH MY GOD・・・
「んー、掃除も頑張ってみるよ! 私もカラ松についつい甘えすぎちゃってる所あるし、変わらなくっちゃね!」
ん~~、なんてポジティブなんだナス子!
その心意気は立派だナス子。
だが今はいつものズボラでレディらしさのかけらもない極度の面倒臭がり気質を前面に出していいんだぜ~?
「家事って大変だよねぇ~自分でやるようになると本当にそう思うよ・・・世の中の主婦、もしくは主夫は偉いよ~」
「・・・・・・・・・ナス子・・・」
「ん?なに?」
オレは棚の縁にツツ・・・っと指を通すと、指の先についてきたそれをナス子に見せる。
「これはなんだ」
「? 人差し指」