第80章 【微エロ】【一松ルート】日向からの目線
「どうしたの、ミケ子、いつもはそんなことしないのに……もしかしてその鰹節、ミケ子のお口にはあんまりあわなかったのかなぁ?」
「でも……結構食べてるけどね」
うん、このカツオブシはイケる。
いつもナス子がくれるものより、ずっと美味しい。
ナス子がくれるご飯もおやつも、美味しいけど。
私の名前は、ミケ子。
目の前の二人がつけてくれた、私の名前。
素敵な名前でしょ? 私の毛並みには3つの色があって、だからミケ子って言うんだって。
窓の外を眺めていると、他にも私みたいな毛色の猫は沢山いるみたいだけれど、私が一番って感じで、気に入っている。
それに、そうやって私を呼ぶときの二人の顔が、とっても幸せそうだから。
「うーん、もしかして歯のどこかが悪いとかっ? ミケ子っ、ちょっとお口の中見せてーっ」
あっ! なにするのっ! 私まだ食べてたのにっ!
ナス子に突然身体を持ち上げられて、口をこじ開けられそうになって、必死に抵抗してやる。
別に痛いところもないし、悪いところもないよっ。
「こぉら、暴れないのミケ子っ……うーん、歯も口の中も綺麗だし……ホントに機嫌が悪いだけなのかな? さっきまでは普通だったんだけどなぁ」
「猫は気まぐれだからね……急に機嫌が悪くなることもあるよ」
「まぁねぇ」
まったく、失礼しちゃうなぁ……私これでもケンコーには気をつかってるんだから。
落ちているものを無闇に食べたりしないし、ナス子がおやつを置いてるカゴだって漁ったりしない。
だって、まだ小さい頃に、私が落ちていたものを食べたら、ナス子ったらすっごく慌てて、泣きそうになっちゃったの。
私が食べたらイケナイものだったみたい。
別にどうってことなかったけど、ナス子にあんな心配そうな顔をさせるのは、私だって嫌だもん。
「でも、噛んだらダメだよミケ子、痛い痛い~ってなっちゃうからねっ」
頭を撫でられるのは嫌いじゃない。
ナス子の手はあったかくて、優しくて、安心する。
でも、私だっていつもナス子の膝の上にのって暖めて安心させてあげてるんだから、おあいこだよ?