第12章 愛の鞭 カラ松side
「はー・・・お、終わったぁ」
山のような洗濯物をオレ指導の下なんとか畳み終えると、ナス子は床に転がった。
服を取り出し畳む、というだけの作業なのだが、なんとあれから2時間が経過している。
だがしかし、頑張ったな、ナス子!
そして・・よく頑張った・・・・・・オレ。
Tシャツ、Yシャツ、パーカー、ズボン・・・
多種多様の服たちを、その形に合わせた最適な畳み方を一つ一つ教えつつの作業は、とても大変だっただろう。
なにせこの量だ。
「コングラチュレーション、ナス子! これでお前もおそ松ガールから卒業だ!」
オレは笑ってナス子に拍手を送る。
心底げっそりした顔のナス子はオレを横目に睨む。
「おそ松ガールはやめてくれない?! なんか言い方違うからね?!」
おそ松ガールと言われたのが心底嫌だったのだろう。
顔全体に嫌悪の表情が見える。
「今度それ言ったら絶交だから!」
えぇ、そこまで?!そこまで嫌だったの?!
どれだけ嫌われているんだおそまぁつ!
「す、すまない・・・そ、それにしても、よく頑張ったじゃないか! まさかお前が根を上げずここまでやれるレディだとは思っていなかったぞ!」
「けなされてる気がするんだけど?! いや、けなしてるよね、それ!上げて落としてくるヤツだよね?!」
「ん~? 途中放棄してリトルキャットと昼寝を決め込もうとしたのはどこの誰だったかなぁ?」
「んぐっ・・すいませんでした・・!」
くっと顔を歪ませるナス子。
その表情に思わずふっと笑いが漏れてしまった。
すると、ナス子も表情を和らげ、短く息を吐く。
「はぁ~、疲れたけど、これぐらい出来るようにならなきゃ駄目だよね。うん。ありがと、カラ松のおかげだよ」
「ふふ~ん、やっとわかってくれたかオレの愛! お前に厳しくしたのも涙を呑んで手を貸さなかったのも全てはお前の為・・・、めくるめく試練を乗り越え成長した壁はまるでチョモランマのように高く、お前のハートも成長させてくるだろう」
この人は何を言ってるんだろう・・・
という目で見られてるような・・・?
いや、きっと気のせいだな。
ナス子なりの照れ隠しなんだろう。
「これでもう、カラ松にもスペアキー必要ないね」
「えっ?」