第12章 愛の鞭 カラ松side
「ミケ子、後で遊ぼうね~私は今から・・・脱おそ松計画を実行しなければならないのだよ」
そう言ってミケ子を撫でると、意を決したナス子が次に取った行動に俺は驚愕する。
「え、えぇ?! ちょ、何をしてるんだシスター?!!!」
「え、今から畳むからカゴから全部出しただけだけど?」
ナス子はカゴを一つ持ち上げると、水撒きでもするかのように床に服を撒き散らした。
あっという間に足の踏み場がなくなる。
「何故全部床に投げる?! せっかく洗ったのにまた汚れてしまうだろう!! 普段から綺麗にしている床ならともかく、掃除も適当にしかしていないような床だろう!?」
「掃除機くらいはちゃんとかけてるよぉ。それに、こうして最初に広げた方がちゃっちゃか畳めて楽じゃない?」
「ノンノンノン、違うぞナス子・・・とりあえず、今広げたものをカゴに戻すぞ」
「えー!」
まさかこんな所から指導しなくてはいけないとは・・・
これは・・・長い道のりになりそうだ。
* * *
「センセー、もう面倒なんで全部このまま棚に突っ込んでいいですか?!」
「答えはノーだ」
数十分しか経っていないのに早速ナス子は根を上げ始めた。
まぁ、これも予想通りと言えば予想通りだ。
「じゃぁ、ちょっと休憩を・・・」
「それも、ノーだ。ほら、手を動かせ」
本当は姉のような存在であるシスターにはもっと優しくしてやりたい。
だがしかし、女版おそ松から脱したいと言うナス子の先ほどの気持ち、それは本当だったハズだ。
似ている所があるとはいえ、相手はおそ松でなくナス子姉。
甘やかしてやりたいとつい思ってしまうが、それは本人の為にならないだろう。
オレの愛の鞭を許してくれ、ナス子。
お前の為を思ってこそなんだ。
マイハートを痛めながらも、手を動かしていたハズのナス子に目をやる。
・・・・・・・・・んん?
ん?!いない?!
ホワッツ?!
「ええっぇ?! ちょ、なに、どこ行ったの?」
おっと素になってしまった。危ない危ない。
ナス子はどこに行ったんだ・・・・・・まさか!