第12章 愛の鞭 カラ松side
ピシャーーーーーン!!
という落雷と共に、ナス子は真っ白になり完全にショートする。
何も言い返して来ないということは、自分でも言われみればと思い当たるのだろう。
まぁ・・・ショックだろうな・・・それはそうだ。
自分で言っておいて何だが、もしこれが逆の立場だったらと思うと死にたくなる。
考えるだけでも胸糞悪くなる。
ああ・・・そう思うとやはり先程の言葉はあまりに酷だったか・・・
「い・・・・・・・」
何とか自力で正気に戻り、短く言葉を発したナス子を見ると、顔は青ざめ目に涙を浮かべ、口は波打ち、体は震えている。
イカン・・・・・このままでは、死ぬかもしれんな・・・。
「いやあああああああああああああ!!!!!!」
絶叫と同時に目から滝のような涙を流し、オレの胸倉を掴みかかってくる。
ナス子に殺されて死ぬのはオレかもしれないと一瞬思ったぜ・・・。
それぐらいの迫力、もとい勢いがあった。
ズルズルと俺のシャツを引っ張りながら、膝をつくナス子。
見上げてくる顔は、まさにこの世の終わりとでも言いたげだ。
「嫌っ・・・嫌ぁ!! それだけは・・・っ! それだけは嫌よカラ松!!! お願いっ・・・そんなこと言わないで・・・!!」
おいおい、おそ松、一体どれだけナス子に嫌われているんだ。
尋常じゃない嫌がり方だぞ。
確かに死にたくなるほどの屈辱だろうが、そんなに泣かなくてもいいだろう!
「うっ・・・ひっく・・・ヒドイ・・・ひどすぎる・・・こんなにヒドイことがこの世にあっていいの・・・」
なんだか段々おそ松が気の毒になってきたな・・・。
自分のいない所で、自分に似ていると言われた相手がまさかここまで絶望しているとは夢にも思わないだろう。
・・・だがしかし、ここで甘い言葉で慰めては、ナス子はおそ松のままだ・・・
オレはそんな絶望の淵から、シスターを救い上げてやらないとならないんだ・・・!
「女版おそ松と思われるのがそんなに嫌なら・・・変わるしかない」