第2章 平穏な日々に嵐はやってくる~カラ松~
「魅了されてないし心も掴まれてないけどね・・・ って何あれ! ちょっとあの服! イタイイタイイタイ、目に悪い、眩しいっ」
リビングにある壁に目を向けると、黒色の革ジャンにカラ松の顔が貼り付けられたクソタンクトップ、キラッキラのスパンコールパンツがハンガーにぶら下がっていた。
「なんでアンタの服が私の部屋にっていうか、わざわざ着替えたの?!」
「ああ、あれか。オレの………パーフェクトファッションだ。このままでは皺がついてしまうからな、ハンガーを借りた」
サングラスを外してクソ顔を向けると、キマったかのように得意気に答えてくる。
いや、なんで台詞溜めた?全然キマらないし!
「って、待って待って待って! それ下着っ、下着だから!」
慌てて立ち上がりカラ松が手にしようとしていた物を奪う。
「え、あっ! わわ、悪い!」
「ていうか洗濯取り込んだ時点で見てるよね?! 触れてるよね?!」
そういえばと思い立ち、詰め寄る。カラ松は顔を赤くしたまま目を逸らす。
「いや、時間も時間だし急いで取り込んだからあまり見ていないさ…ま、まぁ結果触ってはしまったわけだが」
チラチラと私が持っている下着に横目を向けるチェリーボーイカラ松。
あの無遠慮な長男に比べればまだまだ可愛気がある。
「と言ってもお前の下着はあまり色気のある下着ではなかったからな。ノープロブレムだ!……安心しろ、オレの趣味ではない。さすがにお前のその下着ではオレのタッティは反応しないぜぇ~?」
「あん?」
失礼な事を言いながらもまだ顔は赤い。
女の下着ならなんでもいいのかとも思うが心情は微妙だ。
母親のブラジャーと同列にされた気がする!
私の不穏な気配を感じ取ったのか、そそくさと洗濯物を畳む作業へと戻るカラ松。
ちっ、突っ込むタイミングを逃してしまった。
「ふぅ、これで全部だな。 また随分と洗濯物を溜め込んでいたじゃないか」
「う」
「差し詰め仕事疲れで何日も面倒臭がっては洗濯をサボり、下着と制服だけでも洗濯しつつ他は溜め込んでいたのだろう。まったく困ったシスターだ」
「べ、別にいいじゃん・・・結局洗濯はするんだし・・・」
いつも変な事ばっかり言う癖に洞察力だけはあるんじゃ?