第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
なにも悪びれる様子もなく、プレゼントした物に対しても気にもしない両親。
実際、アレのお陰で卒業出来たようなモノかもしれないと思うと最初は困り果てていた兄弟達だったが、その両親の好意に心底感謝する。
「そうね父さん、でも、この様子だと孫の顔が見れるのもそんなに遠い未来じゃないかしらねぇ~うふふふふふ」
嬉しそうな顔をする両親を目の前に、さすがに本当のことは言えずつい苦笑いが漏れる面々。
「えっと……二人とも、帰って来たばかりで疲れてるだろうし……僕達は、上に引っ込んでることにするね、行こう、みんな」
そんなチョロ松の言葉は耳に届いているのかいないのか、両親達は相変わらず上機嫌で談笑をしていた。
・
・
・
・
・
・
「━━━━━とは言われても、ねぇ?」
後ろ手に襖を閉めながら、微妙な顔をしてそういうトド松に、同じ顔の兄弟達が同じような表情をして頷く。
「まぁ……いつかは本当のこと言わなきゃいけないんだろうけど……今はこれでいいんじゃない、皆幸せだし」
「だね。僕もそれがいいと思う」
「フッ……これぞジレンマ」
「母さんも父さんも嬉しそうだったしね」
「うーん……それもそうなんだけどさぁ、お兄ちゃんはこうも思うわけよ」
どかりと床にあぐらをかいて、両腕を組み、真剣な表情のおそ松。
「ぶっちゃけ━━━━━━━……仮にこの中で誰かの子供が出来たとしてもさぁ、結局同じじゃね?」
「おいっ! このクソ長男!! お前それ言っちゃう?! 誰しもが思っててあえて口にしなかったことをココで?!」
「だってそうだろぉ? 俺達こんなに同じ顔で同じ体なんだよ? 血液型も一緒だし、父親に似たら俺らの顔で、母親に似たらナス子の顔なわけだろ? 細かいこと考えるのやめない?」
「いや全然細かくない……全然細かくないけど、否定もしきれないところが悲しいところなんだけどね?」
相変わらずのおそ松節が炸裂し、何やら兄弟達も脱力してしまう。
結局は、このクソ長男の言うとおり、気にしないようにするしかないのだ。
「俺達六つ子は、俺がアイツで、俺達は俺、だろぉ?」
「……そう、だね……少なくとも、俺達が好きなナス子が、俺達のこと全員を好きって言ってくれてるんだから……それって奇跡に近いことだと思うんだよね……」