第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
「いいじゃんいいじゃん! しっくりくる!」
「ああ、似合っているぞ、ナス子」
「サイズもよさそうだね、ちょっと大きいかな?」
「メンズ物だからね……でも、それがまたいいよね」
「オレンジは姉さんの色だから! 似合う似合う~!」
「一生懸命探した甲斐があったねぇ、とっても可愛いよっナス子姉」
「あ……ありがとおおおお~……っ!」
堪えていたものが決壊し、ナス子の目から滝のような涙が溢れる。
突然泣き出したナス子に松達は少しだけ焦るが、嬉し涙なのはわかっているので各々顔を見合わせて浅く溜め息をつきつつも、その表情は明るい。
「何も泣くことないだろ……まったく、ほら、そんなに嬉しいんなら鼻水で汚したくないだろ?」
「う゛んっ……ありがとっ……ぐすっ……嬉しいです!!」
「どっかの一発屋芸人みたく言うなって」
差し出されたティッシュで涙と鼻水を拭き、笑顔を見せるナス子。
その笑顔に、松達も満足げな表情を浮かべる。
今日は六人の誕生日だというのに、結局、一番嬉しい思いをしたのは自分かもしれない。
そして、そんな自分を見て、嬉しそうに、照れたように笑う目の前の恋人達を心から愛しいと思う。
「もー……もーっ………っお前らみんな大好きだ━━━━━━っ!!」
「うわっ!」
両手をめいっぱい伸ばし、六つ子を丸ごと抱き締めるように突進する。
当然腕が回りきるはずはなく、勢い余って全員が倒れこみ、ナス子がその上から乗っかって全員を抱き締める。
正確には全員を抱き締めている、つもり、だが。
「いってて……っあのなぁ! 照れ隠しはいいけど頭打ったらどうすんだよ! まったく!」
「フフーン、熱烈な愛情表現だなナス子……っ」
直接体の上に乗っかられているチョロ松とカラ松は特に衝撃が大きかったようで、頭やら腰やら痛そうにしていたが、そんなことも構わずぐりぐりと頭を押し付ける。
「うるせー! 好きだコンチクショー!!」