第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
「ナス子姉、今8回普通って言ったからね? 一番言ってるからね?」
「僕らの関係で今更そんなことしないでしょ、嘘付かれる方がよっぽど嫌じゃない?」
結局、普通普通言われながらも綺麗に皿を平らげてしまう6人。
マズければマズイとハッキリ言うし、食べてくれたという事はまぁ悪くはなかったのだなと思いナス子は一安心する。
「まだまだ私の料理修行は始まったばかりですから……これから頑張りまーす」
「そうそう! 花嫁修業頑張れよぉ?」
「だから、まだ嫁になるなんて言ってない!!」
おそ松に突っ込まれ、顔を真っ赤にしてしまうが、そんなおそ松が目で他の兄弟達に合図を交わす。
十四松がそれに気づき、立ち上がって一度居間の襖を開けて出ていくとナス子はどうしたのかと不思議な顔でそれを目で追った。
「え、十四松どうしたの? っは! まさかお腹痛くなったとか?! 私のケーキ、お腹壊すくらいの破壊力あった?!」
「そうじゃないよナス子、あのさ」
心配の表情で口を押えてしまう恋人の顔にフォローを入れるチョロ松。
何か続きを言おうとした時、すぐに十四松が一つの紙袋を持ち部屋に戻ってくる。
「ジャ~~~~~~~ン!!」
「ん? ん? 何それ??」
持ってきた紙袋が一体なんなのかはわからず、しかしそれは掲げられていて如何にも見て欲しそうに十四松の目がナス子の顔を見ていた。
「おそ松兄さん、はい! 代表!! 今日だけね?」
「長男だからと言って代表にするのは気が引けるが、ここは仕方ない……今日だけは我慢してやろう、今日だけだぞ?」
「まぁ、一応仮にも長男だしね。思ってなくても立ち位置的にはそうなっちゃう訳だし譲ってあげるよ、今日だけ」
「……言い出したのもおそ松兄さんからだしね、いいんじゃない、別に。でもその特別、今日だけだから」
「そうそう、渡すなら本来は一番こういうのに長けてるぼくの方が適任だとは思うんだけど、さすがに今日だけは譲ってあげてもいいよ? 今日はケーキだけじゃなくって他にもプレゼントもらっちゃったしぃ」
普通を連呼した後は、今度は今日だけと言うコールに変わる。
一体全体何が起こるのかはわからないが口々にそう言う兄弟達をウロウロと顔を動かして見てしまう。