第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
「では……どうぞっ! 食べてくださいっ!」
「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
パクリと全員がケーキを一口食べ、ナス子だけはフォークにとったケーキを口に運ぶことが出来ず、全員の顔色を窺う。
「………ど、どう……ですかねっ……」
ケーキを飲み込んでも誰も何も言わないことに不安になり、縮こまっていく。
やっぱり慣れないことはするもんじゃなかったか。
正直材料と道具を揃える金額だけで高級店のホールケーキが買えるぐらいにはお金がかかっている。
普段お菓子作りなどしないのだから、材料も道具も揃っていないのは当たり前。
それならば最初から美味しいと確定しているケーキを買ってきたほうがやっぱり良かったか━━━━━━━
「ナス子、正直に言うね」
一番に口を開いたのはチョロ松。
「う、うん」
「普通だね」
「え」
チョロ松は、そう言うとまた一口ケーキを口へと運びもぐもぐと咀嚼する。
普通と言いつつも、箸、もといフォークは進んでいるようだが。
「んー、そうだなぁ、特別美味いわけじゃないし、だからといって不味いわけでもないっ、つまり普通」
「デリシャスだぞナス子、普通にな」
「うん……そうだね、スッゲー美味いとは言えないけど……でも、うん……美味いよ、普通に」
「普段お菓子作りどころか料理もまともにしないナス子姉が作ったにしては上出来じゃない? 普通に食べられるよ、美味しいよ、普通に」
「普通にんまいよ! 姉さん頑張って作ってくれたんだね! んまいよー! 普通にっ!」
「おいゴルァ!! 普通普通って、普通ばっかり言ってんじゃねぇぞお前らぁ!! 普通ってなんだよっ、普通って言うか?! 普通! こういう時は嘘でもスッゴク美味しい! って言うのが普通なんじゃないの普通!!」
普通って言うなと言っておきながらこの中で一番それを口にしているかもしれないナス子。
そんな自覚などなく連呼しているのだが、それに気づいた突っ込み担当二人がすかさず突っ込み返してくる。